地球が誕生してから46億年。これまでにうまれたさまざまな生物のなかで、史上最大の陸上動物とされているのが「竜脚類」と呼ばれる恐竜です。
世界最大級の巨大竜脚類、パタゴティタン・マヨルムの全身復元骨格標本が日本初上陸。夏休みにぴったりの「巨大恐竜展 2024」が、パシフィコ横浜で開催中です。
パシフィコ横浜「巨大恐竜展 2024」会場入口
会場は5章構成で、第1章は「生物の巨大化」。ここではナガスクジラなどいまも生きている動物をはじめ、マンモスや魚竜など絶滅した動物も含め、まずは大きな生き物を集めました。
陸生哺乳類の大型化として有名なのが「ベルクマンの規則」です。陸生哺乳類は寒冷な地域に生息するものほど体重が大きい、というもので、体温を維持するために体が大きい方が有利に働くためとされています。
ホッキョクグマ 国立科学博物館
二枚貝やアンモナイトの仲間などの軟体動物は、古生代から現代まで、さまざまな種類で巨大化がみられます。
なかでもパラプゾシアは史上最大級のアンモナイト。しかも展示されている「世界最大のアンモナイト化石」とされ、殻の直径が約1.7mもあります。
(左)メソプゾシア 福井県立恐竜博物館 / (右)パラプゾシア 徳島県立博物館
続く第2章「恐竜の巨大化」では、恐竜の巨大化に注目。巨大恐竜といえば、ブラキオサウルスやアルゼンチノサウルスなど、長い首をもった竜脚類が有名ですが、他のグループの恐竜も大型化が起こっています。
ティラノサウルス類(上科)は原始的なものほど小型で、派生的になるほど大型になる傾向があります。北半球のアジアや北アメリカでは、後期白亜紀にティラノサウルス科が捕食者の頂点に君臨しました。
ティラノサウルス
展覧会の見せ場のひとつが、恐竜ロボットです。このコーナーにはティラノサウルス以上のサイズにまで達したと考えられている、スピノサウルスのロボットも展示されています。
スピノサウルスの生態には謎が残されており、展示されているのは半水生だったとする説をもとに、水中で泳ぐ姿を再現したロボットです。時おりいななく姿は、迫力たっぷりです。
スピノサウルス(ロボット)©ココロ
展覧会の目玉である「パタゴティタン・マヨルム」は、第3章「ティタノサウルス類:最も大きな恐竜たちのくらし」に登場。まさに見上げるばかり、その大きさには圧倒されます。
全長約37mという大きさも規格外ですが、生存時の体重は約57トンあったとされる重さにも注目。現在、陸上で生きている最大の動物であるアフリカゾウ9頭分よりも重かったことになります。
パタゴティタン・マヨルム
第4章「さまざまな竜脚類」では、パタゴティタンの仲間である竜脚類が紹介されています。長い首と尾や太い四肢という共通したプロポーションを持つ竜脚類は、ジュラ紀から白亜紀末まで、世界各地で300種以上が見つかっています。
フクイティタンは福井県で見つかった竜脚類。2010年に新属新種のフクイティタン・ニッポネンシスという学名がつけられました。ロボットは今回の展覧会のためにつくられたものです。
フクイティタン(ロボット)©ココロ
最後の第5章は「巨大恐竜の終焉」。北米大陸では白亜紀の地層から発見される竜脚類の化石は少なく、衰退したと考えられています。
ヨロイ竜類のデンバーサウルスは、首から肩にかけて大きな皮骨(ヨロイのような骨の板)が背中側に並びます。両肩にあるスパイク状の突起は、敵を威嚇する時や、メスを奪い合う時などに使われたと考えられています。
デンバーサウルス 福井県立恐竜博物館蔵
展覧会はインタラクティブな要素も盛り込んでいるのが特徴的。パタゴティタン・マヨルムのような巨大な動物が卵から孵化して成長するまでの過程や、大きな体を成立させている内臓の秘密などの専門的なことがらを、タッチパネルなどを使ってわかりやすいように解説しています。
広々とした空間に並ぶ圧巻の巨大恐竜たち。公式サイトからは夏休み自由研究のためのワークシートや、「巨大恐竜展 2024」と横浜を楽しめるスタンプラリーシートも用意されています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2024年7月12日 ]