京都駅改札を出ていつものように顔をあげると京都タワーの勇姿、あれ?ちょっと雰囲気が違います。
ごったがえす京都駅でタワーと共に存在感アピールしてます
漫画家デビュー後、多方面で活躍される、みうらじゅんさんによる「みうらじゅんFES マイブームの全貌展 in京都」がスタートしました。「マイブーム」「ゆるキャラ」などの言葉を生み出し、みうらさんの自らのブームの変遷をたどり、収集したグッズたちと共にその熱い活動を振り返るFESです。主となる会場はジェイアール京都伊勢丹7階隣接の美術館「えき」KYOTOですが、駅ビルの広場などにもフォトスポットが展開されています。飲食店とのコラボや空中経路でのポスター作品展示、大階段の夜のイルミネーションなどもあり、何だかワクワクします。
ツッコミ如来立像のみちびきでいざ会場へ。
ようこそ 美術館「えき」KYOTOへ
まず、黄金に輝くコクヨのスクラップブック1冊とマングースに抱き着かれて笑顔のみうらさんがにこやかに出迎えてくださいます。長年愛用のスクラップブックはとても重要な作品として大切にされていることが展示からわかることになります。
子供の頃のブームは、怪獣や漫画家といった子供らしいもので始まりますが、新聞を作ったり、突っ走る独創性と一途な追っかけが感じられます。そしてものすごく几帳面なノートや丁寧に切り抜きが貼られたスクラップブックを見れば一生懸命取り組んだ少年の毎日が思い浮かびます。
内覧会では、みうらさんが順番に各ブームの頃の様子を語りながらのツアーを実施してくださり、その楽しさはツッコミと笑い声を誘うものとなりました。
子供の頃から様々な興味が展開
子供の頃を振り返りながら解説してくださったみうらじゅんさん
そしてそのマイブーム大黒柱かと思われる「仏像ブーム」のコーナーにはみうら少年がおじい様と共に過ごした仏像探究の日々がこれまた丁寧に綴られています。今や展覧会などで仏像大使としての活動もされるほど造詣が深く、“見仏記”でのいとうせいこうさんとのコンビは新しい仏像ファンを生み出すという画期的な貢献になっています。
今もなお発展し続けている仏像への愛はここから
各地の寺社仏像を訪ねる「見仏記」は専門書の域
実は私もその一人で、TV見仏記などで映し出される仏像の見方、拝観の作法や用語、そして何よりお二人の訪問される寺院の秘仏の来歴や住職とのお話などから仏像への興味が生まれて今に至ります。牛ブーム、ワニブーム、ヘビブーム、アイドル、ヘンヌキなどエロさを豊富に含みながらもニヤッと笑って見られるグッズが大量に並びます。
ワニやヘビ、カエルはブームの主役たちです
壁一面を埋めるのは「コロナ画」。各ブームを代表するものからピックアップされて描かれていますがそれぞれの関係性はほとんどわかりません。素晴らしい画力をもって描かれたアイテムは、きっとみうらさんの昔の思い出で繋がっているのでしょう。
ほぼ同年代の私にも共感できる場面となっていてじっくり眺めてしまいます。みうらさんの左側の、ビキニを着たカエルがワニにまたがっている絵が一番初めに描かれたコロナ画だそうで、トレードマークのカエルは必ず登場しています。
「コロナ画」と題した絵画は余すところなくみうらさんの世界を表現
地方を訪ねて誰も買うことがないようなものを見つけた時は、まず“買う”ことが大切だと力説されます。そして同種類のものを“集める”。そうしているといつのまにか今のようなコレクションが形成され、多くの人にお見せできているとも。
「勝手に観光協会」としてのブームにはそんな地方への溢れる土着愛を感じざるを得ません。滋賀県を一周して探したとおっしゃる「飛び出し坊や」も素朴な表情のものが多く、改めて見入ってしまいます。
滋賀県でひんぱんに見かける飛び出しぼうやもすっかり人気者
本来の役目とは異なる方向に新しい価値が生まれたりする発見は、時として面白い広がりをみせます。みうら少年は温かい家族に包まれて、他人が気づかない物に価値を見出すことに成功するという人生を歩んでいらっしゃるのではないでしょうか。
今回のみうらじゅんFESでは“各地を巡ることにより、保管する倉庫がいらないのでこのままずっとツアーをしていられると有難い!”との願いをこめたコメントも飛び出す一面もありましたが、きっとまだまだ異なるブームが展開され、収集される“いやげ物”が増えるのは間違いないでしょう。
今後の発信がとても楽しみです。出身地のお膝元京都での開催、京都FESオリジナルのスタンプも忘れずに御集印してお帰りください。暑い夏にゆるっとした空間がとても嬉しくなりました。
厳選のミュージアムグッズ 著書も豊富です
京都駅のあちこちで見かけるフォトスポットを探してみてください
[ 取材・撮影・文:ひろりん / 2024年7月13日 ]