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    レポート
    スタジオ設立30周年記念 ピクサー展
    東京都現代美術館 | 東京都
    ウッディもバズも、手描きのドローイングから
    「トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」で知られる映像制作会社、ピクサー・アニメーション・スタジオ(1986年設立)は、今年でちょうど30周年。東京都現代美術館休館前の最後の展覧会は、ピクサーの映画創作活動の裏側に迫ります。
    (左から)ジョー・ランフト、バド・ラッキー《ストーリーボード:グリーンアーミーメン》「トイ・ストーリー」1995年 / ロブ・ギブス、ジム・カボビアンコ、サンジャイ・パテル、ダン・ジューブ、ケン・ミッチロニー、デヴィッド・ファルプ《ストーリーボード》「トイ・ストーリー2」1999年
    「トイ・ストーリー 3部作」のコーナー
    「バグズ・ライフ」のキャラクター (下から時計回りで)ティア・W・クラッター《種々のアリのキャラクター》 / ボブ・ポーリー《アッタ姫のモデルパケット》 / ティア・W・クラッター《アッタ姫のシェーダー・ペインティング》 
    ジェローム・ランフト《サリー》「モンスターズ・インク」2001年
    (左から)ラルフ・エッグルストン《シークエンスのパステル画:探検》 / ダン・リー《ニモ》 ともに「ファインディング・ニモ」2003年
    「カーズ / カーズ2」のコーナー
    (左から時計回りで)カイル・マクノートン《原野のアーロ》 / マット・ノルティ《恐竜とブッチ》 / シャロン・キャラバン《カラー・スクリプト》 全て「アーロと少年」2015年
    現在のピクサーのロゴに登場するランプの元になった、1986年の短編アニメーション「ルクソーJr.」
    マイクとサリーと一緒に撮れる、記念撮影スポットもあります
    ジョン・ラセター、エド・キャットマル、そしてスティーブ・ジョブズが立ち上げたピクサー。最新鋭のCG映画で知られるピクサーに、手描きのドローイングや模型制作などを手掛けるアーティストが数多くいる事はあまり知られていないと思います。

    映画制作の源となった、さまざまなアートワークを紹介する本展。ピクサーの周年記念展は20周年・25周年が世界各所で開催されていますが(日本では森アーツセンターギャラリーなどで20周年展が開催)、本展は最新作の「アーロと少年」までを対象に、約500点の資料を紹介します。

    最初に紹介される長編作品は「トイ・ストーリー」三部作。1995年に公開された世界初のフルCG長編アニメーションで、いずれも大ヒット。映画に登場するウッディとバズは、ピクサーの顔ともいえる存在です。


    展覧会イントロには、電気スタンドが主人公の「ルクソーJr.」(ピクサー初作品)。「トイ・ストーリー」は大きなエリアで紹介されています

    上のフロアに進むと、作品ごとにアートワークが紹介されます。

    監督が承認したキャラクターは、まずアーティストがモデルパケット(キャラクターの仕様を示すドローイングの素材)を制作。コンピュータモデルはこれに沿って作られます。

    さらに彫刻家は、粘土で立体模型を制作。CG映画に模型は登場しませんが、これによってあらゆる角度からキャラクターが検討できます。

    さらに意外に思えるのが、映画制作の約4分の3がストーリーに費やされる事。全作品がヒットという快挙は、コンセプト作り、脚本執筆、ストーリーボードとストーリーリール(絵コンテに音も加えた、映画のモックアップ)制作という、入念な進行が支えています。


    「バグズ・ライフ」「モンスターズ・インク」から最新作「アーロと少年」まで、長編映画のアートワークを展示

    会場1階の中ほどには、ピクサーの制作プロセスを詳しく紹介しているコーナーがあります。

    ここでは最終的な映像に至るまでの工程が一覧できるように、順を追って解説。モニターではピクサーのアーティストによるインタビュー映像も紹介されていますので、ファンはもちろんの事、映像クリエイターを目指す方は多いに刺激を受けると思います。


    ピクサー映画ができるまで

    展覧会のためのコンテンツも用意されています。

    アニメーションの基本原理を説明するのが「トイ・ストーリー ゾートロープ」。「トイ・ストーリー」「トイ・ストーリー2」に登場する3Dキャラクターを円盤に設置し、回転させてストロボを当てると、ご覧のとおりです。

    大型スクリーンでは、アーティストが描いたドローイングが映像となってピクサーの世界観を表現する「アートスケープ」を上映。ゆったりと時間が流れるインスタレーション作品です。


    トイ・ストーリー ゾートロープ

    会場には2つのミニシアターも設置され、シアター1では初期(1987~1989)の短編映画3本、シアター2では近年制作の短編映画が3期に分けて上映中。入口近くには「モンスターズ・インク」のキャラクターと記念撮影ができるフォトスポットも用意されています。オリジナルグッズも含め、ショップも充実しています。

    ©Disney/Pixar

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年3月4日 ]

    東京都現代美術館は、本展の後に大規模改修工事のため休館となります。

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    ダイヤモンド社
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    ■ピクサー展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年3月5日(土)~5月29日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
    休館日
    月曜日(2016年3月21日、5月2日、23日は開館)、3月22日(火)
    住所
    東京都江東区三好4-1-1
    電話 03-5245-4111(代)
    公式サイト http://pxr30.jp/
    料金
    一般1,500円/ 高校・大学・専門学校生1,000円/ 小・中学生500円/ 未就学児無料

    ※20名様以上の団体購入は当日券料金から2割引(東京都現代美術館で購入の場合のみ)
    ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付添いの方(2名まで)は無料
    ※本展のチケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。
    展覧会詳細 「スタジオ設立30周年記念 ピクサー展」 詳細情報
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