アラン・アレクサンダー・ミルン(1882-1956)が物語を書き、アーネスト・ハワード・シェパード(1879-1976)が挿絵を描いた『クマのプーさん』。
E.H.シェパードはプーさんの原画や資料をロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(略称V&A)に寄贈しており、展覧会はこのコレクションを中心にした構成です。
クマのプーさんは、A.A.ミルンの息子、クリストファー・ロビン・ミルンと、クリストファーのお気に入りだったぬいぐるみのクマがモデル。子ども部屋にいたプーの仲間が、イーヨー、コブタ(石井桃子による翻訳、原著ではピグレット。以下同じ)、カンガとルー、トラー(ティガー)です。
物語の舞台である百町森(100エーカーの森)のモデルは、ミルン一家が週末を過ごしていた場所に近い、ロンドン郊外のアッシュダウンの森。ミルンとシェパードは協力して百町森の地図を作り、プーや仲間たちの場所を設定しました。
シェパードは、父が建築家、母方の祖父が画家という家に生まれました。幼い頃から絵の才能に恵まれ、風刺雑誌「パンチ」の主席イラストレーターに。その挿絵はミルンの文章と見事に調和し、「クマのプーさん」の世界観を作り上げました。
展示されている原画を見ると、人物の配置などに何度も修正を加えた跡が見てとれます。クリストファー・ロビンがプーを引きずりながら階段をおりてくる冒頭のシーンも、プーの足の角度などに気を配っている事が分かります。
1930年には、アメリカの起業家スティーヴン・スレジンジャーがプーとその仲間たちの商品開発をスタート。1961年にはディズニーがキャラクター関係の権利を獲得し、プーは世界中で愛されるキャラクターになりました。今では物語は50以上の言語に翻訳されています。
ミュージアムショップではV&Aが企画制作した展覧会公式グッズをはじめ、さまざまな会場限定アイテムが販売中です。数量限定のため、お目当てがある方はお早目にどうぞ。
展覧会は英国(ロンドン)と米国(アトランタ、ボストン)で開催されてきた国際巡回展です。東京展の後は、大阪・あべのハルカス美術館に巡回します(4/27~6/30)。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年2月8日 ]
| | クマのプーさん 原作と原画の世界
アンマリー・ビルクロウ エマ・ロウズ (著), (公財)東京子ども図書館 阿部公子 (監修), 富原まさ江 (翻訳) 玄光社 ¥ 2,916 |