■ピーターラビット(R)の作者
世界中で愛されているピーター・ラビット。ビアトリクス・ポター(1866~1943)が親しい友人の子どもへ宛てた絵手紙をもとに、絵本『ピーターラビットのおはなTM』が出版されたのは、いまから100年以上も前のことでした。たちまち大人気となったこの絵本に続いて、ネズミやネコ、イヌやブタといった身近な動物たちを主人公にした絵本を次々と制作したビアトリクス。日本では24冊の絵本がピーターラビットのシリーズとして親しまれています。
■自然への深いまなざしと感情
ヴィクトリア朝時代のロンドン、裕福な家庭に育ったビアトリクス。幼いころから身のまわりの動植物を観察し、絵を描くのが大好きだった彼女は、科学的で冷静な眼で対象を描き、特にキノコの観察では研究者をめざしたほどでした。こうした徹底的な観察のうえに立った描写は、やがて絵本の中でも生かされることになりました。絵本作家として有名になったあと、イギリス北西部の緑豊かな湖水地方で農業に従事し、その美しい自然を守ることに力を尽くしたビアトリクス。湖水地方の今も変わらない美しい景観は、彼女の思いを伝えてくれます。
■ビアトリクスとの出会い
父が撮影したビアトリクスの写真、彼女の手紙や暗号で書かれた日記、絵本の初版本や絵本のキャラクターが使われたビアトリクス考案のグッズなどのさまざまな資料を含め、彼女の描写力が窺われる優れた水彩画の数々、絵本の挿絵のために描いた下絵など、約100点の出品作によって、ビアトリクス・ポターの生涯をご紹介します。彼女の作品やその生涯に見られる自然への深い愛情は、現代に生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれることでしょう。