会場は幕張メッセの国際展示場10・11ホール。約9,000㎡という大フロアを活かしたスケールの大きさが最大の特徴です。
博覧会の冒頭は、NASA公認展「NASA A HUMAN ADVENTURE」から。同展は2011年から欧州各地で開催された巡回展で、アジアでは初の開催となります。
天文学にも関心をもっていたダ・ヴィンチ、「SFの父」と称されるH.G.ウェルズら、宇宙を夢見た先人たち。戦後になると米ソによる本格的な宇宙開発競争がはじまります。
人類初の人工衛星(1957年:スプートニク1号)、人類初の宇宙飛行士(1961年:ユーリ・ガガーリン)とソ連に先行された米国。1961年、ケネディ大統領は国家の威信をかけ、10年以内に米国人を月に送ることを宣言しました。
世界各国を巡回しているNASA公認展「NASA A HUMAN ADVENTURE」が、アジアに初登場NASAは1958年に発足。それまで空軍・海軍・陸軍がバラバラに行っていた宇宙開発事業を統合し、体制を整備しました。
マーキュリー計画(米国初の有人宇宙船)、ジェミニ計画(ランデブー、ドッキング、宇宙遊泳などの技術開発)を経て、月着陸を目指したアポロ計画へ。ついに1969年、アポロ11号が人類を月に送る事に成功しました。
会場にはアポロ計画で使用された巨大なサターンロケット、それぞれの計画で使われた宇宙服の変遷、アポロ15号計画で使われた月面車などが紹介されています。
サターンVロケット、宇宙服の変遷、アポロ月面車幕張メッセ国際展示場の高い天井高を活かして上から吊り下げられているのは、1972年にアポロ17号が太平洋上に着水した際に使用された3つの中のひとつ(実物)。
その下にはアポロ司令船の訓練シミュレーター(レプリカ)。内部はアポロ計画で使用された本物の訓練シミュレーターと同じものです。
アポロ司令船(CM)訓練シミュレーター(レプリカ)1981年に初飛行したスペースシャトル(コロンビア号)。2回の不幸な事故がありましたが、2011年まで130以上のミッションを成功させています。
会場にはアトランティス号の機首部分(レプリカ)も展示。階段を上って、フライトデッキの中を見る事もできます。
スペースシャトル「アトランティス」前部胴体とキャビン本展の目玉のひとつが、火星探査車「キュリオシティ」。2012年8月に火星に着陸し、現在も火星表面で活動している探査車のNASA製作実物大モデル機で、米国外では初展示となります。
火星人は古典SFの世界ですが、キュリオシティはかつて火星でも微生物が生息できる環境だったことを発見するなど、多くの成果を上げています。
火星探査車「キュリオシティ」NASA製作実物大モデル機日本の宇宙開発事業を担うJAXA。それまでの宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)を統合し、2003年に設立されました。
会場ではJAXAをはじめ、国立天文台、国立極地研究所の活動を紹介。革新的な固体燃料ロケット「イプシロン」、小惑星探査機「はやぶさ」などのモデルが紹介されており、中でも「はやぶさ」の実物回収サンプルは話題になりそうです。
JAXA・日本の宇宙開発エリア巨大な展示物が並ぶ会場は、まさに圧巻。宇宙好きにはこたえられない企画展です。くれぐれも歩きやすい靴でお出かけください。
なお、7月にオープンした宇宙ミュージアム「
TeNQ(テンキュー)」、東京都現代美術館で開催中の企画展「
ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて」、そして「宇宙博2014」で、各展のチケット半券をお持ちいただくと入場料割引などの特典が受けられる「2014年 宇宙の夏」キャンペーンも開催中。今年の夏は宇宙がアツいです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年7月2日 ]