《双鶏》川村清雄 明治末年頃
奈良県立美術館板地に白と黒の雌雄の鶏を流麗な筆致で描いています。
油彩画の持つ写実性や質感を生かしながらも、日本画の主題や素材を採用して、季節感や情感漂う雅趣豊かな作品となっています。
作者の川村清雄(1852~1934)は、幕末開成所画学局で西洋画法を学び、明治5年に官費留学生として渡米。その後イタリアへ渡り、高度な油彩技法を身につけました。
帰国後は明治美術会創立などに参加し、明治後半期以降、紙や板、絹などの日本画で用いられる基底材に油絵の具を用いて日本の歴史や風物などを描きました。