ヨシモトの没後10年を記念した本展、会場は日本館1階中央ホールと企画展示室です。
ホールに近づくと、ダイナミックな展示にびっくり。最上部のホッキョクグマをはじめ、トナカイ、ヒグマ、サバンナシマウマ、ローンアンテロープなどが木製のやぐらに鎮座します。
猛獣はもちろん、遠目に見ると愛らしく思える草食動物も巨大な体が迫ってくるようで、かなりのインパクト。階段を上がって、上からの眺めもお楽しみください。
日本館1階中央ホールの展示。装飾的な天井との対比も印象的です企画展示室に入ると、ハンターのコレクションルームの紹介から。ヨシモトは自宅別棟に小さなコレクションルームを持っており、初期に捕獲した動物剥製を飾っていました。
几帳面だったヨシモトは、ハンティングの記録をキャビネットに保存。引き出しの中には旅の旅程や、ハンティング業者との手紙のやり取りなどが保管されています。
ヨシモトのコレクションルームをイメージした展示ヨシモトは日系二世。幼い頃は貧しい生活でしたが、建設会社を設立して成功。1980年代後半にはハワイで最も成功している会社のひとつに数えられるまでになりました。
ヨシモトは22歳でライフルを購入、ハンターとしての一歩を踏み出しました。ビジネス上の関係を築く手段としてもハンティングは有用で、50年代後半からはハワイ以外にも足をのばすようになり、1995年までに42カ国、156回のハンティングを行いました。
ヨシモトの生涯ヨシモトのコレクションは、その多様性が特徴です。
例えばヘッドマウント(頭部だけの剥製)では、大きな個体を収集する事にこだわらず、近縁な分類群のヘッドマウントを網羅的に収集。ウシ科やシカ科では、種や地域集団によってツノの形状に違いがある事が、ヨシモトのコレクションからは良く分かります。
また、小型の種も多く収集。大型だけを狙う一般的なハンターとは少し異なり、博物館での展示を意図していた事がわかります。
多様性に満ちたヨシモトのコレクションヨシモトは1992年に自分が経営するボーリング場を改装して、私設博物館を開館。自身は事業から引退し、来館者にコレクションを説明して過ごしました。
90年代後半になって、コレクションを有効利用してくれる寄贈先を探していたところ、いくつかの候補先から
国立科学博物館と意見が一致。1997年に全ての剥製コレクションを寄贈しました。
ヨシモトは2004年1月に死去。その年の11月にオープンした
国立科学博物館 地球館のⅡ期展示で、ヨシモトコレクション81点を利用した剥製展示「大地を駆ける生命」がスタート。現在でも人気を集めています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年10月14日 ]