本年、東京にガス燈が灯ってから150年を迎えることを記念し、10月31日の「ガスの記念日」より、「河鍋暁斎 「河竹黙阿弥 作 『漂流奇譚西洋劇』パリス劇場 表掛りの場」」を、4年ぶりに特別公開いたします。
この作品は、かつて「作者不詳「鹿鳴館」」として紹介されておりましたが、その後、河鍋暁斎記念美術館で保存されている下絵資料から、この作品の下絵が発見され、作者が判明しました。関連する下絵資料によれば、この作品は、明治12年(1879)に新富座で上演された、「漂流奇譚西洋劇」(ひょうりゅうきたんせいようかぶき)の一場面であることが判りました。下絵の付属資料や劇のあらすじから、作品の中央にはパリの劇場前で再開する二人の男女の場面が描かれており、背景には、パリのオペラ座がイメージされています。またバッスルスタイルのドレスを身にまとう女性の姿は、いち早く当時のヨーロッパの流行を取り入れていたものと見受けられます。
この作品は、絹地の肉筆で描かれ、劇場前の茶屋に絹張り行灯として掲げられた看板絵であったと考えられます。今回当館で4年ぶりの特別公開となりますので、欧州文化を取り入れた、明治の華やかな様子を伝えてくれる本作品をぜひご覧下さい。
また作品が展示される同じ会場では、東京でガス燈が灯って150年を記念して10月5日(土)より開催をしている「~明治のガス燈から現代の輝き~『 銀座クロニクル』展」もご覧頂けます。合わせてお楽しみいただければと思います。