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    レポート
    ゴールドマン コレクション これぞ暁斎!
    Bunkamura ザ・ミュージアム | 東京都
    「暁斎を集める理由?楽しいからですよ」
    幕末から明治期に活躍した絵師、河鍋暁斎(1831-1889)。海外にも熱心なファンが多い暁斎ですが、英国在住のイスラエル・ゴールドマン氏もそのひとり。世界有数の包括的な暁斎コレクションを紹介する展覧会が、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中です。
    (左から)河鍋暁斎《地獄太夫と一休》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《地獄太夫と一休》明治4-22(1871-89)年
    (左から)河鍋暁斎《柿の枝に鴉》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《柿の枝に鴉》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《枯木に鴉》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《枯木に鴉》明治4-22(1871-89)年
    (左から)河鍋暁斎《ねずみと大根》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《動物の曲芸》明治4-22(1871-89)年
    (左から)河鍋暁斎《居眠り鯰と猫》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《盲人の書画鑑賞、囲碁》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《鍾馗と鬼の学校》明治4-22(1871-89)年
    (左から)河鍋暁斎《大仏と助六》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《五聖奏楽図》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《野菜づくし、魚介づくし》明治18(1885)年
    (左から)河鍋暁斎《貼交絵 虎に乗る鍾馗/隠れる鬼》元治元年(1864)年 / 河鍋暁斎《朱鍾馗と鬼》明治3(1870)年以前
    (左から)河鍋暁斎《幽霊に腰をぬかす男》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《幽霊図》慶応3(1867)年 / 河鍋暁斎《幽霊図下絵》慶応4/明治元-3(1868-70)年頃 / 河鍋暁斎《幽霊図》慶応4/明治元-3(1868-70)年頃
    河鍋暁斎《百鬼夜行図屏風》明治4-22(1871-89)年
    (左から)河鍋暁斎《笑絵三幅対》明治4-22(1871-89)年 / 河鍋暁斎《達磨の股くぐり》明治4-22(1871-89)年
    ロンドンで画商を営んでいるイスラエル・ゴールドマン氏。会場最初の《象とたぬき》は、一度は顧客に転売したものの、忘れられずに買い戻した作品です。ゴールドマン氏による暁斎コレクションは、ここから始まりました。

    第1章では鴉(カラス)ばかりを集めました。暁斎は鴉を描いた作品で内国勧業博覧会の最高賞を受賞し、海外でも大評判に。後述するように何でも描ける暁斎ですが、あえて「暁斎ならでは」を1点あげるなら、間違いなく鴉です。


    序章「出会い ─ ゴールドマン コレクションの始まり」、第1章「万国飛 ─ 世界を飛び回った鴉たち」

    第2章は「躍動するいのち」。動物を描く時は、脳裏に焼き付くまで観察し、描く時にはその場を離れて記憶を元に描き、イメージが消えると再び観察し…を繰り返して描きました。

    第3章は「幕末明治」。暁斎が活躍したのは、幕末から明治にかけての大変革期でした。さまざまな混乱もありましたが、暁斎はユーモアを交えて描いています。

    第4章は「戯れる」。端午の節句で家に飾るため、暁斎の鍾馗図は飛ぶように売れました。鬼を掴まえたり、蹴り上げたり、崖から吊るしたりと、鍾馗のスタイルも自由自在。高いデザイン性が光ります。


    第2章「躍動するいのち ─ 動物たちの世界」、第3章「幕末明治 ─ 転換期のざわめきとにぎわい」、第4章「戯れる ─ 福と笑いをもたらす守り神」

    本展の大きな見せ場が、第5章「百鬼繚乱」。迫真の《幽霊図》は、暁斎の後妻・阿登勢が亡くなったときの写生を元に描かれたと伝わります。地獄模様の打掛を着た遊女と一休和尚の伝説は、暁斎得意の題材で、本展の2点以外も知られています。

    第6章は「祈る」。仏画も得意とした暁斎ですが、数が多いのは達磨と観音です。晩年には「日課観音」と称して、毎日、観音を描いていました。


    第5章「百鬼繚乱 ─ 異界への誘い」、第6章「祈る ─ 仏と神仙、先人への尊祟」

    会場の一角では、春画も紹介されています。暁斎が描いた春画は、春画の別名である「笑い絵」そのもの。営みの途中でちょっかいを出す猫、女陰の中から化け物の顔、男根で綱引きと、カラっとした明るさ。女性器の形の落款など、サービス精神も溢れています。


    「笑う ─ 人間と性」

    なぜ暁斎を集めるのか問われると「暁斎は楽しいからですよ!」と答えるというゴールドマン氏。確かに暁斎の絵からは、文化や風習を超える、普遍的な可笑しさが感じられます。

    Bunkamura ザ・ミュージアムから始まり、高知、京都、石川とまわる巡回展。会場と会期はこちらです。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年2月22日 ]

    暁斎春画 -ゴールドマン・コレクション暁斎春画 -ゴールドマン・コレクション

    石上 阿希 (著), 定村 来人 (著)

    青幻舎
    ¥ 2,700

    料金一般当日:1,400円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■ゴールドマン コレクション これぞ暁斎 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2017年2月23日(木)~4月16日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00迄) ※入館は各閉館の30分前まで
    休館日
    会期中無休
    住所
    東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_kyosai/
    料金
    一般 1,400(1,200)円/大学・高校生 1,000(800)円/中学・小学生 700(500)円
    ◎※()内は20名以上の団体料金及び前売り料金
    ◎学生券をお求めの場合は、学生証のご提示をお願いいたします。(小学生は除く)
    ◎障害者手帳のご提示で割引料金あり。詳細は窓口でお尋ねください。
    展覧会詳細 「ゴールドマン コレクション これぞ暁斎! 世界が認めたその画力」 詳細情報
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