開館して22年経った江戸博。今回のリニューアルは経年劣化への対処、蓄積された研究成果の発表、多様化する来館者へのニーズへの対応と、多くの要望に応えるものとなりました。
江戸博のシンボルである日本橋を渡ると、早速新しい模型が登場。お客様からの要望も多かった江戸城を本丸御殿を中心に、1/200スケールで復元しました。
本丸御殿は江戸城の中心。表は幕府の政庁、奥は将軍が居住し、大奥では御台所が生活していました。江戸時代の最も大規模な木造建築群のひとつでもあります。
新しく作られた模型「幕末の江戸城 ─ 本丸・二丸御殿」リニューアルの大きなポイントとしては、新コーナーが2つ追加されました。
1つ目は、江戸ゾーンと東京ゾーンをつなぐ空間に設けられた「江戸から東京へ」コーナー。江戸東京博物館からほど近くの本所亀沢町(現在の墨田区)に生まれた勝海舟の視点で、幕末・維新を読み解いていきます。
もう1つは「現代の東京」。変化を続ける東京の姿を10年きざみで紹介するもので、同じ内容を比較展示しているのがポイント。学校給食も1960年代と2000年代では大違いです。
90年代にはルーズソックスも紹介されています。ちょんまげやお歯黒のような伝統文化に近づいたのかもしれません。
2つの新コーナー、「江戸から東京へ」と「現代の東京」これまでも充分見応えがあった既存模型も、9カ所が更新されてグレードアップ。
銀座の煉瓦街は小さな子どもでも楽しめるように設置位置を低くするとともに、側面からも鑑賞が可能に。
凌雲閣と電気館は夜の演出が行われるようになりました。当時の賑わいが聴こえてくるかのようです。
既存模型も改修体験アイテムもさらに充実し、17件が追加されました。
「寿司屋」「二八蕎麦」などの屋台のほか、野菜や魚を売り歩いていた「棒手振(ぼてふり)」も登場。
天秤棒の前後につけた木桶に商品を入れて、いざ、出発。意外に重たいので、女性やお子さんは気合を入れてチャレンジしてください。
「棒手振(ぼてふり)」体験最近は外国人観光客の姿も多く見かけるようになった江戸博。項目解説は従来の日・英・中・韓に加えて仏・西も加えるなど、他言語化も推進しました。
リニューアルにあわせて刊行された「江戸東京博物館 常設展示案内」で「『ロンドンへ行ったら大英博へ、パリへ行ったらルーブルへ、東京へ行ったら江戸博へ』を世界の合い言葉にしたい」と、竹内誠館長は意気込みを綴っています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年3月27日 ]■江戸東京博物館 リニューアル に関するツイート