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    レポート
    ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア
    Bunkamura ザ・ミュージアム | 東京都
    知っているようで知らない?バロックの「神髄」
    ルーベンスといえば「フランダースの犬」を思い浮かべる方も多いのでは? ですが、その作品をぱっと思い浮かべることはなかなか困難かもしれません。総覧する展覧会がなかなか無かったルーベンスの展覧会が、Bunkamura ザ・ミュージアム で始まりました。
    ペーテル・パウル・ルーベンス≪ロムルスとレムスの発見≫1612-13年頃 油彩・カンヴァス、210x212cm ローマ、カピトリーナ絵画館(c)ROMA CAPITALE-SOVRAINTENDENZA BENI CULTURALI-MUSEI CAPITOLINI
    ペーテル・パウル・ルーベンス≪毛皮をまとった婦人像(ティッツィアーノ作品の模写)≫1629-30年頃 プリズベン、クイーンズランド美術館
    ペーテル・パウル・ルーベンス(工房)≪聖母子と聖エリサベツ、幼い洗礼者ヨハネ≫1615-18年頃 フィレンツェ、パラティーナ美術館
    フェリペ四世からの大量の絵画注文のために描かれた油彩下絵。この小さな絵を元に工房で絵画が制作されます。
    ペーテル・パウル・ルーベンス≪ヘクトルを打ち倒すアキレス≫1630-35年頃 ポー美術館 タペストリーの下絵として描かれた作品
    貴重なルーベンスの真筆が多く展示されています。
    ルーベンスの原画を基にした版画。右から第1ステート、第3ステート、第4ステート(完成)
    監修者の京都大学中村俊春先生。後ろはペーテル・パウル・ルーベンス≪眠る二人の子供≫1612-13年ごろ 国立西洋美術館
    ミュージアムショップではフランダースの犬グッズも。
    ルーベンスはベルギーのアントワープで主に活動した画家ですが、創作活動の源泉は実はイタリア。23歳からの8年間をイタリアで過ごし、マントヴァ公国の宮廷画家として活動しました。当時のイタリアはルネサンス文化が花開き、世界の美の最先端。ここで巨匠の作品に触れたルーベンスは、多くのことを学んでいます。


    ペーテル・パウル・ルーベンス ≪復活のキリスト≫ 1616年頃 フィレンツェ、パラティーナ美術館 油彩・カンヴァス、183x155cm (c)Gabinetto fotografico della S.S.P.S.A.E e per il Polo Museale della citta di Firenze/ 肉体表現の力強さにはミケランジェロの影響が感じられます。

    当時、ネーデルラント(現在のオランダとベルギーにほぼ相当する地域)の絵画芸術は、静物画や風景画が主流でしたが、ルーベンスはアントワープに戻った後もイタリアでの経験に研鑽を積み、偉大な人物画家として大成していきます。

    展覧会のメインビジュアル、「ロムルスとレムスの発見」はイタリア建国の物語に想を得た作品。中央の狼と双子の子供ロムルスとレムスは、古代ローマの彫刻作品をイタリア時代に模写したものがベースになっています。描かれたのはアントワープ時代ですが、ルーベンスがイタリアで学んだことを生涯磨き続けたことがよく分かります。


    ペーテル・パウル・ルーベンス≪ロムルスとレムスの発見≫1612-13年頃 油彩・カンヴァス、210x212cm ローマ、カピトリーナ絵画館(c)ROMA CAPITALE-SOVRAINTENDENZA BENI CULTURALI-MUSEI CAPITOLINI

    イタリアからアントワープに戻ったルーベンスは、大きな工房を組織します。戦争が終わったアントワープでは絵画制作の依頼が多く舞い込みました。その注文に対応すべく、ルーベンスは弟子たちに作業の多くを担わせました。ルーベンスが絵の下絵を描き、弟子たちがその下絵を元に絵画を制作していくスタイルでした。


    第2章「ルーベンスとアントワープの工房」

    ルーベンスは自分の作品を正しく世に広めることに熱意を注ぎ、その姿勢は版画制作によく現れています。ルーベンスは自分の作品の版権を厳しく管理、クオリティにもとても厳しい画家でした。版画師が上げた版に修正の指示を何度も加えて、版を作り直させています。当時、これは大変珍しいことでした。


    第5章「ルーベンスと版画制作」


    内覧会では監修者の中村俊春先生のギャラリートークも開催されました。今回は中村先生が世界各地からルーベンスの真筆、もしくは極めてクオリティの高い弟子の手による模写作品を厳選。「これだけまとまった質の高いルーベンス作品を集めるのはなかなか難しいんです!」と情熱たっぷりに解説し、会場も大いに沸きました。

    知ってるようで知らない、見たことあるようで見たことない画家ナンバーワンかもしれない、本当のルーベンスがわかる見どころ満載のルーベンス展、必見です。
    [ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2013年3月8日 ]

    日経おとなの OFF 2013年 01月号

    日経おとなの OFF (編集)

    日経BP社
     

    料金一般当日:1,500円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon
    会場
    会期
    2013年3月9日(土)~4月21日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00迄) ※入館は各閉館の30分前まで
    休館日
    会期中無休
    住所
    東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
    電話 03-3477-9413
    公式サイト http://rubens2013.jp/
    料金
    【一般】
    《当日》 1,500円 《前売・団体》 1,300円
    【大学・高校生】
    《当日》 1,000円 《前売・団体》 800円
    【中学・小学生】
    《当日》 700円 《前売・団体》 500円
    ※団体は20名様以上(電話でのご予約をお願いいたします。)
    ◎申込み先:Bunkamura ザ・ミュージアム Tel:03-3477-9413
    【※前売券は2012年12月22日(土)から販売!】
    (お問い合わせ:03-5777-8600〔ハローダイヤル〕)
    展覧会詳細 「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」 詳細情報
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