半世紀以上にわたって水玉や網目の作品を作り続けてきた日本を代表する芸術家、草間彌生さん。
1929年生まれの草間さんは、その旺盛な創作活動がますます注目を集めています。
近作・新作を紹介する本展。
大阪展はインターネットミュージアムでも多くの書き込みが見られ、首都圏での開催が心待ちにされていました。
モノクロの連作「愛はとこしえ」のモノクローム連作は、2004年から2007年にかけて作られた絵画シリーズです。本展では、マーカーペンで描かれた原画をシルクスクリーンで転写した版画バージョンが展示されています。
描かれているのは幻想の世界から現れる顔や生き物たち。即興的な線だけで描いた作品は、従来の草間さんのイメージを覆す作品群です。
光と水と鏡による部屋《魂の灯》《魂の灯(ともしび)》は、部屋の中に入って見るインスタレーション作品です。
4m四方ほどの部屋に入ると、床には水が満たされ、壁面はミラー張り。吊るされた照明は鏡と水面に反射し、無数の照明が時間とともに様々な色に変化していきます。
部屋には一人づつ順番に入る仕組みで、草間ワールドに浸ることができるのは30秒。筆者も含めて、部屋の前の行列に並び直す方も多く見られました。
吹き抜けに吊り下げられたバルーン作品「ヤヨイちゃん」展覧会は、企画会場の外にも大型の彫刻作品が多く展示されているのも特徴的です。
館内の吹き抜け部に吊り下げられているのは、3月の「六本木アートナイト2012」で展示された巨大なバルーン作品《ヤヨイちゃん》です。
彫刻作品は撮影可能なものが多く、多くの来場者が携帯電話などで撮影していました。
記者会見で自作の詩を朗読する草間彌生さん60年代から「前衛の女王」と呼ばれていた草間彌生さん。本展は
埼玉県立近代美術館の後には
松本市美術館、
新潟市美術館に巡回。並行してマドリード、パリ、ロンドン、ニューヨークを巡回する国際展も開催されているなど、あらためて草間彌生ブームとも呼べる現象が巻き起こっています。
記者発表では、震災と日本が持っている力についても話していた草間さん。自作の詩を力強く朗読する姿も印象的でした。(取材:2012年4月14日)