本展は展示室1・2・5で茶道具の名品を紹介、展示室3「如庵」のケースでは昭和26年の光悦会の一席を再現しています。
展示室4では茶事の基本とされる「正午の茶事」を想定。「初座」「中立ち」「後座」の順に沿って、それぞれに用いられる道具の取り合わせの妙を楽しんでもらう趣向です。
展示室4「茶事の取合せ」展示室5は「名碗抄」で、同館蔵の唐物茶碗、高麗茶碗、和物茶碗のなかから14点を展示。
展示室5「名碗抄」日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されている2碗のうち1碗という「志野茶碗(しのちゃわん) 銘卯花墻(うのはながき)」をはじめ、名品がずらり。桃山時代の茶碗は造形性が豊かで、江戸時代は装飾性が強調されるなど、それぞれの時代の特徴も見て取れます。
本展は併設として、新町三井家・三井依子氏から寄贈いただいた同家伝来美術工芸品も展示されています。寄贈作品の中からは、中国唐の詩人・白居易の詩文集「白氏文集(はくしもんじゅう)」の2巻も新発見され、ニュースになりました。
動画でご紹介する渡辺始興の「鳥類真写図巻(ちょうるいしんしゃずかん)」は、17メートルに63種類の鳥類を描いた作品。羽の重なり方や細かな模様までビッチリと描き込まれた傑作で、東京国立博物館には円山応挙が本図を模写した作品も所蔵されています。
渡辺始興筆「鳥類真写図巻(ちょうるいしんしゃずかん)」こちらも新町三井家の新寄贈品の雛形。服飾の世界でいう雛形は、江戸時代に出版された服の柄見本帳のこと。裕福な顧客がこれを見ながらアレンジを加え、着物を注文していたといいます。
柄には番号がつけられて、その着物を着ているシーンも登場。なんとなくカタログ通販のようで微笑ましく思えます。
江戸時代の服飾類の柄の見本帳「雛形」これら以外にも寄贈作品は歴史的・美術的に価値の高い逸品が多く、本展以後も数回に分けて紹介されるとのことです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2012年2月23日 ]