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    レポート
    寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽
    サントリー美術館 | 東京都
    新時代の美意識
    江戸時代初期の寛永年間(1624~44)といえば、三代将軍・家光の治世。戦乱は過去のものとなり、社会が安定すると、文化的にも新たな動きが生まれました。「雅」な宮廷文化と新時代の美意識を紹介する展覧会が、サントリー美術館で開催中です。
    (手前)野々村仁清《白釉円孔透鉢》江戸時代 17世紀 MIHO MUSEUM
    (左から)本阿弥光悦筆 俵屋宗達画《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》江戸時代 17世紀 / 本阿弥光悦筆 俵屋宗達画《柳下絵古今集和歌色紙》江戸時代 17世紀 ともにサントリー美術館
    (左奥から)修学院焼《砂金袋水指》江戸時代 17世紀 / 修学院焼《冠形大耳付水指》江戸時代 17世紀 / 修学院焼《御切形茶碗》江戸時代 17世紀 いずれも滴翠美術館
    (左から)《小袖屛風 白綸子地橋模様絞縫小袖》江戸時代 17世紀 / 《小袖屛風 黒綸子地斜格子菊吉祥文模様絞縫腰巻》江戸時代 17世紀 ともに国立歴史民俗博物館
    (左手前から)《瀬戸筒茶碗》江戸時代 17世紀 個人蔵 / 《染付花唐草文茶碗》中国・明時代 17世紀 徳川美術館
    (左奥から)野々村仁清《銹絵山水図水指》江戸時代 17世紀 東京国立博物館 / 野々村仁清《白釉耳付水指》江戸時代 17世紀 出光美術館
    (左手前から)野々村仁清《色絵花輪違文茶碗》江戸時代 17世紀 サントリー美術館 / 野々村仁清《黒釉色絵金銀菱文茶碗》江戸時代 17世紀 愛知県陶磁美術館
    (左から)重要文化財 狩野探幽《名古屋城上洛殿上段之間襖絵 帝鑑図「高士渡橋」》寛永11年(1634)名古屋城総合事務所 / 狩野探幽《富士山図》寛文7年(1667)静岡県立美術館
    (左奥から)伝 狩野探幽画、石川丈山賛《三十六詩仙額のうち 儲光羲・王昌齢》寛永20年(1643)徳川美術館 / 狩野探幽《瀟湘八景図巻》正保3年(1646)栃木県立博物館
    日本美術の流れとしては、桃山文化(狩野永徳・千利休ら)と元禄文化(尾形光琳、菱川師宣ら)の間に挟まれる寛永文化。古典が復興して雅やかな世界を醸成。公家から武家、そして町衆へと新しい美意識が広がっていきました。

    会場の冒頭に展示されているのは《白釉円孔透鉢》。ミニマルデザインが印象的ですが、作者は色絵陶器で名高い野々村仁清です。この瀟洒な造形こそ、寛永の美意識といえます。

    展覧会は5章構成で、上階が1~2章。17世紀初頭に権威が高まった江戸幕府は、朝廷に対して経済的な援助をともなう融和政策を実施。文化人によるサロン形成に繋がっていきます。

    寛永文化の中心人物といえるのが、後水尾院です。院は和歌に親しんだ事もあり、まず宮廷周辺で古典が復興。後に宮廷の外にも「雅」の世界が広まっていきました。


    4階会場

    下のフロアが3~5章。新時代の美意識をかたちにした人物として、小堀遠州、金森宗和と仁清、狩野探幽がフォーカスされています。

    さまざまな道具を自らの美意識で選別し、「大名茶」を目指した小堀遠州。優美で明るい茶道具は、後に「きれい寂(さ)び」と称されました。

    京焼随一の名工・野々村仁清と、プロデューサー的な立場の茶人・金森宗和。仁清の色絵陶器は、宗和の指導を離れた後に、発注者である諸大名の好みによって作られたものが多いのです。

    徳川幕府の庇護を受けた狩野探幽。一方で後水尾院からも評価されるなど、宮廷との距離も近い存在でした。大きな余白を活かした優美な作品は「きれい寂び」にも通じています。


    3階会場

    遠州や仁清が取り上げられている事もあり、全体的に(特に下のフロアは)茶道具が目立つ会場。やきものは通期展示が多いですが、書画は何度か展示替えされます。公式サイトの出品作品リストでご確認ください。

    本展に限りませんが、サントリー美術館ならではの「わくわくしーと」もご紹介しておきましょう。4枚のシートに展覧会に関するさまざまな‘ミッション’が書かれている、小中学生向けの鑑賞支援ツールです。ミッションが終わった後に、ミシン目を切ってシートをめくるのがポイント。ひとつのアクションを加えた事で、楽しく学ぶ事ができると思います。こどもには無料で配布しています(数に限りがあります)。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年2月13日 ]

    TOKYO美術館 2017-2018TOKYO美術館 2017-2018

     

    エイ出版社
    ¥ 1,296


    ■寛永の雅 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2018年2月14日(水)~4月8日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    休館日
    火曜日 ※4月3日は18時まで開館  ※shop×cafeは会期中無休
    住所
    東京都 港区 赤坂9-7-4  東京ミッドタウン ガレリア3F
    電話 03-3479-8600
    公式サイト http://suntory.jp/SMA/
    料金
    一般 当日 ¥1,300 前売 ¥1,100
    大学・高校生 当日 ¥1,000 前売 ¥800

    ※中学生以下無料
    ※障害者手帳をお持ちの方は、ご本人と介護の方1名様のみ無料
    [チケット販売場所]
    サントリー美術館(火曜日、展示替え期間中を除く)
    チケットぴあ:Pコード 768-686(前売・当日券共通)
    ローソンチケット:Lコード 32479(前売・当日券共通)
    セブンチケット:058-715(前売・当日券共通)
    イープラスにて取扱い
    ※プレイガイドでの販売は一般券のみ
    ※前売期間は2017年11月22日(水)から2018年2月13日(火)まで
    ※サントリー美術館受付での前売券販売は2017年11月22日(水)から2018年1月28日(日)までの開館日

    ◇200円割引
    ・泉屋博古館(京都)「付属品とたのしむ茶道具」展チケット提示
    ◇100円割引
    ・ホームページ限定割引券提示
    ・携帯/スマートフォンサイトの割引券画面提示
    ・あとろ割:国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示
    ・20名様以上の団体

    ※他の割引との併用はできません
    展覧会詳細 寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽 詳細情報
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