昨年5月に開催された、27の公募団体による合同展「ベストセレクション 美術 2013」に出展した全151名の作家の中から選ばれた5人。今年は洋画1名、日本画2名、彫刻2名という顔ぶれになりました。
会場は
東京都美術館のギャラリーC。まず天井高2.4メートルのエリアには、2人の作品が並びます。
手前の一人目は、洋画の原田圭さん(1987年生まれ 二紀会 准会員)。本展唯一の女性作家です。新作の東京藝術大学修了制作以外は、油彩ではなく卵テンペラによる作品です。
「自分の身体感覚と廻りの関係を描きたい」という原田さん。人物をモチーフにした不思議な世界が広がります。
原田圭さんの作品続いて、日本画の吉田幸紘さん(1980年生まれ 創画会 准会員)。季節の草花や動物を主題に、今の時代の“花鳥画”を描いています。
本展のために制作された新作は《追憶ノ蒼》。日本風の植物の中にバイソンが佇む、4メートルの大作です。
吉田幸紘さんの作品他の3名は、天井高約6メートルの吹抜け空間での紹介です。
日本画の丸山勉さん(1969年生まれ 日展 会友)は、本展最年長。大阪の府立高校で教鞭を取っています。
《環》は、芦屋ロックガーデンを題材にした6メートルの新作。白い画面に刻むような線で、深い奥行きと広がりを表現します。
丸山勉さんの作品彫刻の本郷芳哉さん(1982 年生まれ 国画会 会員)は、鉄の作品2点、アルミの作品2点を出展しました。
鉄と比べると、自分のエネルギーをダイレクトに形にしやすいアルミ。逆にアルミの作品を手掛けたことで、錆びて変わっていく鉄の魅力にも改めて気付いたと言います。
本郷芳哉さんの作品彫刻の川島史也さん(1989年生まれ 二紀会 一般)は、筑波大学大学院に在籍中。本展最年少の作家です。
大きな2点の木彫は、キリスト教で犠牲的なモチーフとして使われる羊を題材にした作品。新しく手掛けているのは乾漆技法によるエイで、栃木から海のある茨城に転居したことで、新たなモチーフとして見出しました。
川島史也さんの作品展覧会では、作家本人が作品の前でテーマや制作についてお話しする「アーティストトーク」も予定しています(参加費は無料ですが、展覧会観覧料が必要です)。
2月22日(土)
14:00~丸山勉、14:30~川島史也、15:00~本郷芳哉
3月2日(日)
14:00~原田圭、14:30~吉田幸紘
大作が多く見ごたえたっぷりですが、会期はかなり短めです。お見逃しなく。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年2月18日 ]