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    レポート
    笑う浮世絵 ─ 戯画と国芳一門
    太田記念美術館 | 東京都
    江戸の脱力系
    美人画、役者絵、名所絵、風俗画…。さまざまなジャンルがある浮世絵の中から、ユーモラスな作品ばかりを集めました。
    歌川芳幾《マケロマケヌ 売買大合戦》
    冒頭は肉筆画から
    歌川国芳《あらためて狸のたハむれ》
    関斎《よくきく薬種》
    二代北尾重政《身振いろは芸》
    歌川国芳《きたいなめい医》
    歌川国貞(三代歌川豊国)《浮世道中 膝栗毛の内 二川宿旅店》
    (左から)歌川国芳《流行猫の曲鞠》、歌川国芳《流行猫の曲手まり》
    歌川芳艶《浅草奥山ニおゐて興行仕候 御馴染肥後熊本産生木偶造宦 松本喜三郎》は、生人形(いきにんぎょう)の見世物を描いた作品
    日本が誇る芸術作品として海外でも評価が高い浮世絵ですが、もともとは庶民の手軽な娯楽。そば一杯分の値段で買えるブロマイドであり、風俗雑誌であり、マンガ本ともいえるような存在でした。

    浮世絵の人気ジャンルのひとつが、本展でご紹介する戯画。本展ではアイディア溢れる脱力系の戯画が紹介されていきます。


    いつものように冒頭は肉筆画から

    「寄せ絵」は、沢山のものを集めて大きなものにした絵のこと。野菜で作った肖像画のアルチンボルドなど、西洋にも同様の作例が見られます。

    猫が集まって「かつを」「うなぎ」などの文字になったのは、歌川国芳の《猫の当て字》。袋に頭を突っ込んだ描写など、確かな観察眼は猫好きだった国芳の真骨頂です。


    寄せ絵

    影絵も江戸時代には流行。宴席などでも楽しまれました。

    伊勢海老に似せたり、擬宝珠(ぎぼし)になったりと変幻自在。アクロバチックな姿勢にはどことなく哀愁も漂います。


    影絵

    地下では絵の中に文字が隠されている「文字絵」などを紹介。

    七福神が組み上げている文字は「壽(寿)」。縁起が良いものばかりが描かれた1枚です。


    地下の展示

    笑いを通り越して呆れてしまうような作品もありますが、一方で強調したいのは確かな画力。卓越したデッサン力と優れたデザイン性は、ユーモアの中からも見え隠れしています。

    例によって浮世絵作品なので、前後期で作品は大きく入れ替わります。半券提示で100円割引の「リピーター割引」もありますので、ご活用ください。

    なお、展覧会の内容とは関係ありませんが、太田記念美術館は珍しく靴を脱いで上がるタイプの美術館でしたが、本展から靴脱ぎは不要になりました。脱ぐのに時間がかかるブーツの方も、本展からはお気軽に。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年9月30日 ]

    奇想の天才絵師 歌川国芳

    新人物往来社 (編集)

    新人物往来社
    ¥ 2,205

     
    会場
    会期
    2013年10月1日(火)~11月26日(火)
    会期終了
    開館時間
    10:30~17:30(入館17:00まで)
    休館日
    10月7、15、21、28~31日/11月5、11、18、25日
    住所
    東京都渋谷区神宮前1-10-10
    電話 03-5777-8600
    公式サイト http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
    料金
    一般 1,000円/大高生 700円/中学生以下 無料
    展覧会詳細 「笑う浮世絵 ─ 戯画と国芳一門」 詳細情報
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