美術の大プロジェクトといえば、まずはクリストとジャンヌ=クロード。生年月日がまったく一緒のふたりは26歳で出会い、野外で展開するプロジェクトを共同で進めて行く事となります。
「フローティング・ピアーズ、イタリア・イセオ湖、2014-16」は、イタリアのイセオ湖に布の浮き橋を渡すプロジェクト。人々が渡れる巨大なオレンジの浮き橋は、風景を一変させました。
会場では創作過程のドキュメント映像などを紹介。さらに現在進行中の「マスタバ、アラブ首長国連邦のプロジェクト」のドローイング類も展示されています。
クリストとジャンヌ=クロード展示室にそびえ立つ、白い壁のような構造物。良く見ると、下部に人間の模型。実は10分の1スケールの建築模型で、石上純也さんが設計した教会のプランです。
実際のスケールだと、入り口付近の幅は1.35メートルに対し、高さは45メートル。立地は中国山東省の渓谷です。屋根が無いため雨も降ってきますが、切り立った壁の間を進むと、暗くて狭い空間から広い場所に導かれていく計画です。
石上純也インパクトが強いのが、ヌーメン/フォー・ユースの作品。FRPで作られたオブジェのように見えますが、なんと素材は透明の粘着テープ。総延長16,200mのテープが使われています。
この作品は、中に入る事ができます。恐る恐る靴を脱いで上がってみると、意外なほどしっかりとした印象。乳白色に包まれる、不思議なひと時が過ごせます。
ヌーメン/フォー・ユースは三人組のクリエイター。舞台美術、デザイン、アートの分野で活躍しています。
ヌーメン/フォー・ユース500人が入れるコンサート・ホール。風船のような形状ですが、まさに構造は風船で、2時間ほど空気を入れて作ります。逆に空気を抜いたら移動させる事も可能です。
東日本大震災復興支援プロジェクトとして実現したもので、2013年から2015年にかけて宮城県松島町、仙台市、福島市の3カ所で設置されてコンサートが行われました。希望に満ちた門出という意味を込め《アーク・ノヴァ》(新しい方舟)と名付けられています。
ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ出展作家は全部で8組。ここでご紹介できなかったものも、ユニークな作品ばかりです。
トークショーなどのイベントも用意されていますが、中でも西野達さんの新作インスタレーション「カプセルホテル21」を体験するイベントでは、実際に作品に宿泊するという珍しい試みです。興味がある方は、
公式サイトからどうぞ。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年6月22日 ]■そこまでやるか 壮大なプロジェクト展 に関するツイート