本展を企画したのはジェレミ・ステラ(写真家)、ヴェロニック・ウルス(建築家)、ファビアン・モデュイ(建築家)、マニュエル・ タルディッツ(建築家・みかんぐみ共同代表)。2014年5月からフランス、スイス、ベルギー、オランダを巡回した展覧会の帰国展です。
まず紹介されるのは「昨日の家」。20世紀の日本の住宅建築、14作品が紹介されています。
ここで紹介されているのは、日本のモダニズム建築の父といわれるアントニン・レーモンドをはじめ、前川國男、清家清、丹下健三など日本建築史に残る錚錚たる面々から、安藤忠雄や伊東豊雄など現在は大御所となった建築家まで。彼らは住宅だけでなく大規模な建築も手掛け、文字通り戦後日本の姿を作ってきたといえる存在です(ちなみにフランスでは、建築家が住宅建築を手掛けることはまれです)。
アール状の壁面で囲まれたスペースでは、ゲストアーティストの坂口恭平さんの作品も展示。屹立する建築物を描いた《Dig-Ital》です。
「昨日の家」、ゲストアーティスト(坂口恭平)展覧会のメインは「今の家」。21世紀になってから竣工した新しい住宅建築が、写真と模型で紹介されています。
紹介されている家は、大きなデッキが張り出したり、建物の間に隙間があったり、広い天窓から空が見えたりと、かなり個性的。施主へのインタビューも掲載されており、それぞれが自分の家に強い愛情と誇りを持っている事が分かります。
会場最後は「東京の家」。写真家のジェレミ・ステラが撮影した個人住宅を紹介。写真には建物だけでなく町の人々も写っており、日常の中にある個性的な建物をドキュメンタリータッチで切り取っています。
「今の家」「東京の家」法規や面積など、さまざまな制約を乗り越えて建てられた個性的な住宅たち。「日本のユニークな住宅デザインをフランス人が紹介する」という珍しい試みですが、とても誇らしく思えます。巡回はせずに、東京だけでの開催です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年4月7日 ] | | 日本、家の列島
ヴェロニック・ウルス (編集), ジェレミ・ステラ (編集), マニュエル・タルディッツ (編集), ファビアン・モデュイ (編集), パナソニック 汐留ミュージアム (編集) 鹿島出版会 ¥ 2,484 |
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