展覧会ではカーサ・ブオナローティ所蔵の作品を中心に、ミケランジェロ真筆の素描や建築図面35点を含む75点が紹介されます。
ミケランジェロの偉大な業績の中で、特に名高いシスティーナ礼拝堂の天井画。彫刻家としてキャリアを積んできたミケランジェロにとって、精神的にも肉体的にも困難を伴う仕事でした。1508年頃から4年の歳月をかけた大プロジェクトで、作業にあたって天井を見上げて描くという不自然な姿勢での苦労を訴える手紙や、人物習作が残されています。
力強い老婆の姿で現さているのは、クマエの巫女の習作。天井画の原寸大下絵にいたる前の、直接的な雛形の1つと推測されます
会場入口から、会場風景。《クマエの巫女》の頭部習作システィーナ礼拝堂にあるもう一つのミケランジェロ作品「最後の審判」。天井画を描いてから30年近く経ち、61歳になったミケランジェロは、足場から落下する事故を乗り越え、5年かけてこれを完成させます。
展覧会では、忠実な模写素描に基づくジョルジョ・キージの版画を展示。この版画は16世紀から19世紀まで版を重ねた人気作で、ミケランジェロの大作が長きにわたり人々の心をつかんでいることがわかります。
ジョルジョ・キージによる《最後の審判》の版画ミケランジェロは長い生涯において、メディチ家出身の教皇からの設計の依頼を受けています。ダヴィデ像を完成させた翌年に、ユリウス二世から霊廟の設計を、レオ10世からサン・ロレンツォ聖堂ファサードと聖堂神聖具室の設計を、クレメンス7世からはラウレンツィアーナ図書館設計を…次々に舞い込む依頼にミケランジェロは応えていきました。
立面図やスケッチ、計画案のメモには、細かな指示の書きこみも。、建築家としてのミケランジェロの姿を垣間見ることができます。
ラウレンツィアーナ図書館は建築家ミケランジェロの代表作のひとつ。マニエリスム建築の先駆けとも言える様式で、モニュメントのような美しい階段が特徴的です。
第3章 建築家ミケランジェロ ミケランジェロの建築の中で最も著名なのはバチカンのサン・ピエトロ大聖堂。このカトリックの総本山では長い間改築計画が進められ、何人もの芸術家の設計プランを検討した結果、ミケランジェロ案を採用。ミケランジェロの死後に完成しました。
第3章 建築家ミケランジェロ Ⅻサン・ピエトロ大聖堂後世まで手本とされる作品を数多く残したミケランジェロ。日本の建築家たちも例外ではありません。本展は巡回展ですが、
パナソニック 汐留ミュージアムのみ、日本の建築家たちがミケランジェロに受けた影響を紹介する特別展示コーナーを設けています。
[ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2016年6月24日 ]■ミケランジェロ展 ルネサンス建築の至宝 に関するツイート