世界を舞台に活躍している三宅一生さん。1988年の「ISSEY MIYAKE A-ŪN」(パリ装飾美術館)、1998年の「ISSEY MIYAKE MAKING THINGS」(カルティエ現代美術財団、その後ニューヨークと東京に巡回)など、過去に何度か大きな個展が開催されていますが、いずれも海外で立案された企画。日本で企画立案される大規模な三宅一生展は本展が初めてとは、やや意外にも思えます。
展覧会は3つのセクションで構成。Section Aは最初期の仕事を一列に並べて紹介します。
ここにあるのは、布の幅をそのまま活かしたジャンプスーツや、刺し子や丹前を再解釈した衣服など。「一枚の布をできるだけそのまま使う」「伝統技法と先端技術の融合」といった三宅さんの特徴は、この時期の作品にも見る事ができます。
Section A
Section Bは、1980~1985年に展開していた「ボディ」シリーズ。繊維強化プラスティック、籐と竹、シリコンなど、従来の衣服では使われなかった素材や手法を用いて、胴体部を覆う衣服を作りました。
真っ白の展示室が印象的なSection AとBの空間デザインは、吉岡徳仁さんが担当しました。衣服を着ている「グリッド・ボディ」も、本展のために吉岡さんがデザインしたものです(吉岡さんは20代前半から約10年間三宅デザイン事務所で仕事をした後に、自らのデザイン事務所を立ちあげています)。
Section B
Section Cではいくつかのテーマを設けて、三宅さんのさまざまな仕事を紹介します(このセクションの会場デザインは佐藤卓さん)。布を身体に寄り添わせる最古の方法・襞(ひだ)を用いた「プリーツ」、編み出されるチューブを切って一着の服をつくる「A-POC」など、強い独創性が光ります。
本展で初めて公開されるのが「製品プリーツ」の制作実演。開館日の11時~12時(金曜は11時~12時と18時~19時の2回)に、スタッフが実際にプリーツマシーンを動かし、プリーツの制作プロセスを見る事ができます。
Section C
「発想し(making THINK)、それまでにないものをつくり(making THINGS)、現実をつくる(making REALITY)」という基本精神のもと、前に進み続ける三宅さん。エネルギッシュな仕事の数々は、若いクリエイターへの檄のようにも感じられます。レジオン・ドヌール勲章コマンドゥールの受章も発表され、展覧会の開幕に華が添えられました。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年3月15日 ]
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