蒼樹うめさんは兵庫県出身。中学生時代から同人活動を始め、美術系の予備校を経て武蔵野美術大学へ進学します。2004年に『まんがタイムきららキャラット』(芳文社)で4コマ漫画「ひだまりスケッチ」の連載が始まり、同誌の看板に。4度にわたってアニメ化もされ、蒼樹さんの代表作となりました。
美術科がある高校に通う少女たちの日常を描く「ひだまりスケッチ」。美術系予備校から美大へ進学した蒼樹さん自身の経験が元になっています。会場には設定資料や漫画原稿とともに、主人公のゆのが住んでいる、ひだまり荘201号室も再現されました。
続いて「魔法少女まどか☆マギカ」。2011年から放送が始まったテレビアニメで、蒼樹さんはキャラクター原案を担当しました。物語は“魔法少女もの”の定番から大きく外れた、ダークで悲壮なストーリー。蒼樹さんによるかわいらしいキャラクターとのギャップは物語の重厚さを際立たせ、大きな反響を呼ぶ作品になりました。それぞれの魔法少女たちのデザインについて、蒼樹さんの細かな設定意図などが紹介されています。
個展形式の展覧会なので、会場には楽しい仕掛けも。イラストのメイキング映像や、作業場の再現のほか、展覧会向けに作った「立体自画像」も紹介。ここには「素人クオリティー」と書かれていますが、会場には他にも各所に蒼樹さん自身のコメントが書かれていますので、探してみてください。
報道内覧会では蒼樹さんがライブドローイングも実施。ゆの(ひだまりスケッチ)とキュゥべえ(魔法少女まどか☆マギカ)を15分程で描き上げました。会期中も蒼樹さんは不定期に会場を訪れてライブドローイングを実施する予定ですが、残念ながらいつ来るかは全く未定、との事です。
「キュゥべえがゆのを誘っているようになってしまった(蒼樹さん)」との事で、描いた後にキュゥべえのセリフを追加していました(C)蒼樹うめ/芳文社 (C)Magica Quartet/Aniplex・Madoka Movie Project Rebellion横に長い顔が特徴的な、蒼樹さんのイラスト。萌え系テイストには馴染みが無い方もいると思いますが、大きな支持を集める最先端クリエイターの創作は、「大衆が求める美」を着実にとらえた結果でもあります。会期が短い(わずか10日です)のが気がかりですが、ファン以外の人にも足を運んで欲しい展覧会です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年10月2日 ]■蒼樹うめ展 に関するツイート