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    レポート
    ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生
    Bunkamura ザ・ミュージアム | 東京都
    宗教画の背景から、独立した主題へ
    現在では一般的な絵画のジャンルである、風景画。純粋な意味での風景画が誕生したのは17世紀のオランダですが、それ以前にも宗教画の背景などで風景の表現は進化を続けていました。風景画の誕生から展開まで、ウィーン美術史美術館の所蔵作品で辿る企画展です。
    (左から)レアンドロ・バッサーノ(通称)《5月》 / レアンドロ・バッサーノ(通称)《4月》
    (左から)バスティアーノ・マイナルディに帰属《二人の天使のいる聖母子》 / イェルク・ブロイ(父)《五色鶸と聖母子》
    (左から)ペーテル・フェン・アーフォント、ヤン・ブリューゲル(子)《幼児ヨハネと天使のいる聖家族》 / ヤン・ブリューゲル(子)《エジプトへの逃避途上の休息》
    ヨアヒム・パティニール《聖カタリナの車輪の奇跡》
    (左から)ヤン・ブリューゲル(父)《キリストの誘惑が描かれた山岳風景》 / フランドルの画家《キリストの誘惑が描かれた風景》
    (左から)ドッソ・ドッシ(通称)《聖ヒエロニスム》 / イル・ガロファロ(通称)《ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)》
    ルーカス・ファン・ファルケンボルフ《夏の風景(7月または8月)》
    (左から)ハンス・ボルに基づく《フランドルの村の生活》 / ヘイスブレヒト・リテンス《宿営する放浪の民のいる冬の風景》
    (左から)フランチェスコ・グアルディ周辺の画家《ヴェネツィアのサン・マルコ広場》 / カナレット(通称)《ヴェネツィアのスキアヴォーニ河岸》
    「風景画」と銘打った展覧会ですが、最初に並ぶのはどう見ても宗教画。東方三博士や聖母子など、良く見る面々が並びます。ただその背景に着目すると、川の流れや数々の建物、木々や山の連なりなど風景的な要素も描かれている事が分かります。

    風景画というジャンルの創立者とされるのが、ヨアヒム・パティニール。《聖カタリナの車輪の奇跡》も主題こそ伝説ですが、手前の岩から奥の水平線までの広がりを見事に描き出しており、紛れもなく風景画と位置付けられます。


    第1章「風景画の誕生」。動画最後が、ヨアヒム・パティニール《聖カタリナの車輪の奇跡》

    本展の注目作品が、1年12カ月の月暦画中で表現されている風景。レアンドロ・バッサーノ(通称)による連作が、展示室を囲うように展示されています(9・10・12月は展示されていません)。

    《1月》には、馬に跨って狩りから帰ってきた毛皮の貴人。《6月》は収穫したさくらんぼと、試食する女性。《5月》には牛から乳を搾り、バターとチーズを作る農民たち。それぞれ遠景には薄日が差しており、山の姿がくっきり。画面上部にはそれぞれの月の星座のシンボルも描かれています。


    レアンドロ・バッサーノによる、月暦画連作

    展覧会の後半は、独立した主題になって以降の風景画の展開について。17世紀半ばになると風景画はジャンルとして確立し、オランダの画家たちは自らの感性でそれぞれの風景画を描くようになっていきます。

    険しい岩山やうっそうとした木々、渓流の流れなど、特徴的な自然を描いた風景画が描かれる一方で、都市をテーマにした風景画もあります。教養としての旅「グランド・ツアー」が流行すると、体験を記録するために都市の姿を描く事が必要となり、風景画としての都市景観図が発展していきました。


    第2章「風景画の展開」

    大学生のみなさんには嬉しい企画も。休館日の10月5日(月)は特別企画「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」として、学生証を提示すると無料で観覧が可能です。

    展覧会は3カ所を回る巡回展で、最初の会場がBunkamura ザ・ミュージアム。続いて静岡展(静岡県立美術館:12月19日~2016年3月21日)、福岡展(石橋美術館
    :2016年4月2日~6月12日)と進みます。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年9月8日 ]

    TOKYO美術館2015-2016TOKYO美術館2015-2016

     

    エイ出版社
    ¥ 999

    料金一般当日:1,350円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■風景画の誕生 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2015年9月9日(水)~12月7日(月)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00迄) ※入館は各閉館の30分前まで
    休館日
    10/5(月)のみ休館
    住所
    東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_wien.html
    料金
    一般 1,500(1,300)円/大学・高校生 1,000(800)円/中学・小学生 700( 500)円
    ※()内は20名以上の団体料金及び前売料金(団体は要予約)
    展覧会詳細 ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生 詳細情報
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