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    レポート
    うらめしや~、冥途のみやげ展
    東京藝術大学大学美術館 | 東京都
    「うらみ」がきっかけのコレクション
    幕末から明治にかけて活躍した落語家の三遊亭圓朝(1839-1900)。怪談噺が得意だった圓朝の菩提寺である谷中・全生庵には、圓朝が蒐集した幽霊画など50幅が所蔵されています。全生庵の圓朝コレクションを中心に「うらみ」の表現をたどる企画展が、東京藝術大学大学美術館で開催中です。
    (左から)谷文中《燭台と幽霊》 / 鈴木誠一《雪女図》 / 中村芳中《枕元の幽霊》
    圓朝が楽屋や家庭で使用した遺愛の品々
    (左から)月岡芳年《宿場女郎図》 / 柴田是真《桟橋の幽霊》
    (左から)鰭崎英朋《蚊帳の前の幽霊》 / 伝円山応挙《幽霊図》
    (左から)月岡芳年《和漢百物語 清姫》 / 月岡芳年《偐柴田舎源氏》
    《『四谷怪談』の仮面(柳亭左龍使用)》
    (左から)大森眠龍《幽女図》 / 祇園井特《お菊幽霊図》 / 渓斎英泉《幽霊図》
    (左から)祇園井特《美人と幽霊図》 / 曾我蕭白《柳下鬼女図屏風》
    (左から)吉川観方《夕風(お菊)》 / 伊藤晴雨《幽霊図》 / 月岡芳年《幽霊之図 うぶめ》
    噺の上手さは歴代名人の中でも筆頭といわれる三遊亭圓朝。あまりの上手さに師匠が嫉妬し、高座で師匠が自分の演目を先に口演する嫌がらせを受けたため、真似をされないために自作の怪談噺をはじめたという説があります。まさに、圓朝の怪談も「うらみ」がきっかけになったわけです。

    会場は、まずはその圓朝の紹介から。自筆本やゆかりの品々のほか、有名な鏑木清方による肖像画(重要文化財)も展示されています(展示は8/16まで)。

    なお、本展は会場構成もひと工夫。壁に幽霊が現れたり、恐ろしげな音が響いたりと凝った構成です。


    第1章「圓朝と怪談」

    第2章「圓朝コレクション」からいよいよ本番、中央に蚊帳が吊るされた展示室に、幽霊の軸物(掛け軸)が並びます。

    実は圓朝自身も国芳に入門した事があり(病気のために頓挫)、そのコレクションには同門筋の月岡芳年や歌川芳延の作品があります。さらに日本画家の飯島光峨と洋画家の高橋由一とは、浜町梅屋敷に住んでいた頃の近所付き合い。同時代の画家たちと親しく交わる事で、圓朝の幽霊画コレクションは充実していきました。


    第2章「圓朝コレクション」

    第3章は「錦絵による〈うらみ〉の系譜」。錦絵に幽霊が描かれるようになったのは19世紀後半からで、歌舞伎でヒットした怪談物を、芝居絵や役者絵のかたちで描いたものから始まりました。

    このジャンルを得意としたのが、歌川国芳。大判三枚続の大画面で迫力ある作品をいくつも描いています。同時代の葛飾北斎も《百物語》シリーズで、個性的な妖怪や幽霊を描写。国芳の弟子である月岡芳年は得意の「血みどろ絵」で、幕末維新の世相を反映した〈うらみ〉を表現しました。


    第3章「錦絵による〈うらみ〉の系譜」

    近代になると幽霊の存在は否定されますが、幽霊画が無くなる事はなく、美人画のひとつとして受け継がれていきます。

    血染めの腰巻が印象的な月岡芳年《幽霊之図 うぶめ》は、艶めかしい背中は美人画そのもの。松岡映丘《伊香保の沼》も美しい娘を描いていますが、実は蛇身に変化する直前の姿です。

    この章では他に般若などの能面や、道具入り怪談噺で使われた仮面も展示されています。


    第4章「〈うらみ〉が美に変わるとき」

    展覧会は細かく4期に分かれていますが、8月16日(日)までと8月18日(火)からで大きく展示替え。メインビジュアルで紹介されている上村松園《焔》は9月1日(火)からの展示です。公式サイトの出品作品リストに展示替え情報がありますので、ご確認の上お出かけ下さい。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年7月21日 ]


    料金一般当日:1,100円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2015年7月22日(水)~9月13日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は午後16:30まで)
    休館日
    月曜日休館
    住所
    東京都台東区上野公園12-8
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.tokyo-np.co.jp/event/urameshiya/
    料金
    一般1,100(900)円 高校・大学生700(600)円 (中学生以下無料)
    * ( )は20名以上の団体料金
    * 団体観覧者20名につき1名の引率者は無料
    * 障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料

    お得なペアチケット(2枚で1組、1名様で2回使用も可) 2,000円
    展覧会詳細 うらめしや~、冥途のみやげ展 ―全生庵・三遊亭圓朝 幽霊画コレクションを中心に― 詳細情報
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