世界中の関心を集めている日本のマンガ、アニメ、ゲームを、国立の美術館で大きく取り上げる注目展。会場はテーマで分けた8章構成で、マンガ・アニメ・ゲームが混在して並びます。
第1章は「現代のヒーロー&ヒロイン」。まずは1989年以降に誕生した典型的なヒーローやヒロインとして「NARUTO -ナルト-」「七つの大罪」「名探偵コナン」などが紹介されます。
第1章 現代のヒーロー&ヒロイン第2章は「テクノロジーが描く「リアリティー」―作品世界と視覚表現」。ネットの広がりやデジタル技術の進歩は、コミュニケーションの方法や映像表現の可能性を大きく広げました。「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー」「バイオハザード」などが紹介されます
第2章 テクノロジーが描く「リアリティー」―作品世界と視覚表現第3章は「ネット社会が生み出したもの」。ネットの普及は、作り手と作品の受け手を直接つなぎ、新たな作品を作る土壌にもなっていきます。紹介されるのは「ひぐらしのなく頃に」「コロニーな生活」などです。
第3章 ネット社会が生み出したもの第4章は「出会う、集まる―「場」としてのゲーム」。ここではゲームのみが紹介されています。ゲームはひとりでする時代は去り、他者と戦ったり、プレーがパフォーマンスになったりと、人とのコミュニケーションが求められるようになりました。進化したゲームとして「バーチャファイター」「太鼓の達人」などとともに、ハード機の変遷も展示されています。
第4章 出会う、集まる―「場」としてのゲーム第5章は「キャラクターが生きる=「世界」」。現実ではかなわない夢が体験できるのがマンガ・アニメ・ゲームの大きな特徴のひとつです。ボーカロイドを使えば、真の「プロデューサー」になる事も可能になりました。ここでは「初音ミク」のほか「実況パワフルプロ野球 2014」「艦隊これくしょん -艦これ-」「戦国 BASARA」などが紹介されます。
第5章 キャラクターが生きる=「世界」第6章は「交差する「日常」と「非日常」」。日常性と非日常性が入り混じった作品として紹介されているのは「新世紀エヴァンゲリオン」「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」などです。
第6章 交差する「日常」と「非日常」第7章は「現実とのリンク」。平成に入ってからの日本は、二度の大震災をはじめ社会的に大きな出来事も多く、その情勢は作品にも色濃く反映されました。現実とリンクしたマンガとして「め組の大吾」「なのはな」などが紹介されます。
第7章 現実とのリンク第8章は「作り手の「手業」」。ここまでは作品を紹介してきましたが、最終章は作者にスポットをあてました。どんなにテクノロジーが進んでも、作品を生み出すのは作り手の「ワザ」と「思い」です。「奥浩哉と『GANTZ』」「板野一郎と『マクロスプラス』」などとともに、会場最後には敬意を込めて、手塚治虫原作の「メトロポリス」が展示されています。
紹介されているのは全130タイトル。対象の時代も長いため、馴染み深い作品から初見のものまでさまざまですが、その多彩さ、表現の豊かさは十分すぎるほど堪能できます。東京展の後は兵庫県立美術館に巡回(9/19~11/23)した後、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどで国際巡回展として開催される予定(一般書籍として販売される本も、英語版も刊行予定です)。国内での反響だけでなく、海外での評価も楽しみです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年6月23日 ]