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    レポート
    ユトリロとヴァラドン ─ 母と子の物語
    SOMPO美術館 | 東京都
    恋多き母と酒乱の息子は、ふたりともスター画家
    パリの風景を詩情豊かに描いたエコールド・パリの画家、モーリス・ユトリロ(1883-1955)と、その母で同じく画家として活躍したスュザンヌ・ヴァラドン(1865-1938)。ユトリロ41点とヴァラドン40点で、母と子の物語を辿ります。
    (左から)スュザンヌ・ヴァラドン《画家の母》 / モーリス・ユトリロ《「小さな聖体拝受者」、トルシー=アン=ヴァロワの教会(エヌ県)》
    (左から)スュザンヌ・ヴァラドン《裸のユトリロの身体を拭く祖母》 / スュザンヌ・ヴァラドン《脚を拭く裸のカトリーヌ》
    (左から)モーリス・ユトリロ《モンマニーの3本の通り(ヴァル=ドワーズ県)》 / モーリス・ユトリロ《モンマルトルのサン=ピエール広場から眺めたパリ》 / モーリス・ユトリロ《ピエールフィットの風景》
    (左から)モーリス・ユトリロ《クリニャンクールのノートル=ダム教会、モンマルトル》 / モーリス・ユトリロ《サノワの通り(ヴァル=ドワーズ県)》
    第2章「ヴァラドンの再婚とユトリロの『白の時代』」
    (左から)スュザンヌ・ヴァラドン《自画像》 / スュザンヌ・ヴァラドン《窓辺のジェルメーヌ・ユッテル》
    (左から)スュザンヌ・ヴァラドン《野兎と雉と林檎のある静物》 / スュザンヌ・ヴァラドン《鴨》
    (左から)モーリス・ユトリロ《ムーラン・ド・ラ・ギャレット、モンマルトル》 / モーリス・ユトリロ《ギュスターヴ・カーンの家、モンフォール=ラモリー(イヴリンヌ県)》
    第4章「晩年のヴァラドンとユトリロ」
    日本で絶大な人気を誇るユトリロはよく展覧会が開かれますが、ヴァラドンとあわせた企画は2000年~01年の「ユトリロとヴァラドン」展以来。数奇な運命に翻弄された二人の作品を、本展では時系列で紹介していきます。

    1865年生まれのスュザンヌ・ヴァラドン、父親は分かっていません。空中ブランコから落下して曲芸師を辞めた後、モデルに。シャヴァンヌやロートレック、ルノワールや著名な画家に描かれるうちに、自らも絵の道へ進む事となります。

    持ち前の美貌で多くの男性と浮き名を流したヴァラドン。18歳でユトリロを生みますが、こちらも父親は分かっていません。恋愛と仕事に忙しい母にユトリロはあまり構ってもらえず、孤独感からアルコール依存症に。治療の一環としてはじめたのが絵画でした。


    第1章「ヴァラドンとユトリロ、ふたりの芸術家の誕生」

    一時は実業家と結婚していたヴァラドンですが、44歳の時に息子の友人・ユッテルと恋に落ち、後に結婚します。21歳年下の再婚相手との生活はヴァラドンの絵画にも活力を与え、それまでの淡い色彩から力強いタッチに変化。パリで個展も開催するようになりました。

    一方のユトリロは母の再婚により、義父の金銭的援助・母の愛情・ユッテルとの友情を同時に失い、ますますアルコール依存へ。ただ、その作品は次第に評価を集めるようになり、義父になったユッテルのマネージメントにより、白い漆喰のモンマルトルの風景を数多く描きました。


    第2章「ヴァラドンの再婚とユトリロの『白の時代』」

    ヴァラドンは1920年代に円熟期を迎え、裸婦、肖像、静物、風景などさまざまな画題に挑戦。作品はパリ以外の展覧会にも出品されるようになり、研究書も出版されました。

    ユトリロはアルコール依存症の治療のためにフランス東部へ。作風も変容し、塗りが薄くなる一方で色彩は豊かになりました。人気は相変わらず高く、1928年にはレジオン・ドヌール勲章を受章するまでに至りました。


    第3章「ヴァラドンの円熟期とユトリロの『色彩の時代』」

    ヴァラドンは1932年、パリの最も大きな画廊のひとつジョルジュ・プティ画廊で大回顧展を開催。カタログにはフランスの首相が序文を寄せています。1938年にアトリエで倒れ、病院へ搬送される途中で死去、72歳でした。

    ユトリロは母の死に大きなショックを受け、葬儀にも参列できなかったほど。晩年は絵を描く事よりも祈る事が多くなりました。

    会場最後には、母ヴァラドンの写真を見つめるユトリロのポートレートがあります。ユトリロは61歳頃、写真の母は45~50歳のはずですが、大きな瞳が印象的な美貌は相変わらず。ユトリロはこの写真の前を通る時に、必ず祈りを捧げていたそうです。


    第4章「晩年のヴァラドンとユトリロ」

    本展は全国巡回。東京展の後は広島(ひろしま美術館:7月11日~8月30日)、京都(美術館「えき」KYOTO:9月11日~10月18日)、佐賀(佐賀県立美術館:10月24日~12月6日)と廻ります。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年4月17日 ]

    ユトリロと古きよきパリユトリロと古きよきパリ

    井上 輝夫 (著)

    新潮社
    ¥ 1,620

    料金一般当日:1,200円
     → オトクなチケットはお出かけ前にicon


    ■ユトリロとヴァラドン 母と子の物語 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2015年4月18日(土)~6月28日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    ※入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日休館 ただし5月4日は開館
    住所
    東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42F
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.sjnk-museum.org/
    料金
    一般 1,200円、大・高校生 800円、65歳以上 1,000円、中学生以下 無料
    展覧会詳細 ユトリロとヴァラドン 母と子の物語 ─ スュザンヌ・ヴァラドン 生誕150年 詳細情報
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