2009年にドイツ・プファルス歴史博物館で開催された「魔女 ─ 伝説と真実」展を再構成した本展。ドイツ・オーストリア・フランスの30カ所以上の美術館・博物館が所蔵する作品・資料約100点で、日本ではあまり知られていない「本当の魔女」(というのも妙ですが…)に迫る企画です。
展覧会は4章構成、第1章「信じる」からスタートです。
魔女という言葉は中世(5世紀~15世紀)からあり、黒魔術を使って悪事を働く厄介な存在として信じられていました。
会場には魔除けやお守り、呪文の護符など「魔女の黒魔術」に対抗するための品々や、当時の人にとっては魔法のように思われた錬金術の道具などが並びます。
第1章は「信じる」第2章は「盲信する」。それまでは嫌われながらも受け入れられてきた魔女を取り巻く環境は、近世(16~18世紀)になると一変します。
ルターの宗教改革に端を発する紛争、世界的に気温が下がる「小氷期」の到来、そして黒死病(ペスト)の大流行と、社会的不安が増え、魔女は人々の不満の標的になっていきます。
興味深いのが、情報伝達について。印刷機の発明はメディアを一変させ、大衆が求める扇情的な話題として、事実と創作が入り混じった不正確なニュースが飛び交うようになります。
安易に作られた魔女のイメージは魔女の告発、つまり「魔女狩り」に。現在のネット社会を暗示させます。
第2章「盲信する」動画でのご紹介はここまでにしますが、展覧会はこの後が本番。第3章「裁く」には実際に使われた拷問や処刑の道具として「苦悩の梨」(歯を折り顎を砕く)、「スペインの長靴」(脛の骨を折る)、「死刑執行人の鉄マスク」(魔女の仲間に身元が知れないように顔を隠した)などを紹介。第4章「想う」では絵画や彫刻で表現された魔女とともに、日本の有名漫画家が手掛けた作品も展示されています。
全国巡回する本展。大阪展の後は新潟、名古屋、浜松、広島まで発表されていますが、首都圏での開催は少し先になります。会場の
大阪文化館・天保山は、クチコミサイトでアジア№1に輝いた水族館「海遊館」のすぐ隣です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年3月6日 ]■魔女の秘密展 に関するツイート