キャプテン・クックとして知られるジェームズ・クック。1768年8月26日~1771年7月12日に行われた第一回太平洋探検航海に同行したのが、「プラントハンター」のジョゼフ・バンクス(1743-1820)です。
大航海時代において、それまで知られていなかった植物を採集するのがプラントハンター。バンクスは植物学者や画家らによる科学班を率いて探検航海に同行し、帰国後に豪華な植物図鑑を出版する事となります。
展覧会では
Bunkamura ザ・ミュージアムが所蔵する「バンクス花譜集」から、オーストラリアや太平洋の島々の植物を描いた銅版画を中心に紹介していきます。
会場入口から会場構成は以下です
プロローグ「科学的発見を目指した太平洋への航海」
第1章「ソサエティ・アイランズ―金星観測の成功」
第2章「ニュージーランド―勇ましき戦士たちの島」
第3章「オーストラリア―花咲ける太平洋」
第4章「ジャワ―パーキンソン最期の地」
エピローグ「凱旋帰国、そして『バンクス花譜集』の出版へ」
バンクスは1771年に帰国した後、植物図譜の出版作業を進めましたが、自身の多忙や資金の欠如などで思うように進まないまま1820年に死去。残念ながら、存命中の出版はかないませんでした。オリジナルの銅版を用いて多色刷りの「バンクス花譜集」が出版されたのは、実に航海から200年以上も経った1980年代の事です。
第3章「オーストラリア―花咲ける太平洋」「バンクス花譜集」は銅版画で、バンクスが持ち帰った植物標本と、探検航海に同行した画家のシドニー・パーキンソンによる写生をもとにしています(ちなみにパーキンソンは航海中に客死しました)。精密な描写は当然ながら、何よりも絵そのものの美しさが目にとまります。
楽しんでいただきたいのが、絵に添えられた植物の説明。「やぶの中でトイレットペーパーとして使われる」「毒性のある果実は魚捕りに使う」「紙のような樹皮は遺体を包むために使われた」などなど、ユニークです。
バンクス自身の名前を冠する事になった「バンクシア」の数々会場には太平洋地域の民族資料やクックの関連資料も展示されています。
クックが指揮したのは、長さ33.3メートルのエンデヴァー号。4つの甲板を持つ帆船で、オーストラリア国立海事博物館にはエンデヴァー号を再現した現役の船もあるそうです。
民族資料などの展示も公式サイトではさまざまなコラボグッズも紹介されています。注目は本展とBunkamuraル・シネマの映画「ナショナルギャラリー 英国の至宝」(1/17よりロードショー)がセットになった「Bunkamuraプレシャスチケットセット」、セットで2,500円(税込)です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年12月22日 ]