今年で17回目の「DOMANI・明日展」、今回は新進作家12名の作品が展示されました。ここではうち4名をご紹介いたします。
ユニークな表情の人物が並ぶドローイング作品は、紙川千亜妃(1976-)。当初はジュエリーを手掛けていましたが、オランダでの研修期間中にドローイングやインスタレーションに変わりました。
葬儀や埋葬などシリアスなシーンに、特徴的な表情の人物。平面作品を組み合わせた立体や、自立するパネルなど形態もさまざまで、パネルの作品は、裏に回ると別の人物が描かれています。
紙川千亜妃多くのメディアの注目を集めていたのが、現代美術の岩崎貴宏(1975-)。《アウト・オブ・ディスオーダー》シリーズは、30センチ四方ほどの布(キャプションを見ると「雑巾」とあります)の上に作られた、モノトーンの鉄塔や工場です。今回の展示は2014年に川崎市のために制作されたもので、廃墟のような緊張感が漂います。
天井から下がる木製模型は、まったく違う趣き。地上の実像と水面に映った虚像を一体化した《リフレクション・モデル》シリーズです。
岩崎貴宏装飾が過剰に盛りあがったように見える、真っ白な立体作品。青木克世の磁器の作品で、壊れたり欠けたりしやすいという素材の特製は、作者が持つイメージを下支えしているといいます。
派遣先はアメリカですが、日本とは素材の粘土や釉薬の種類・質、焼成の窯から温度表記まで異なるため、使い慣れるまでは苦労したそうです。
青木克世個人的には今年の「DOMANI・明日展」で最も強く印象に残ったのがこちら。会場最後で展示されている入江明日香(1980-)です。
一見すると絵画のようですが、銅版画を作ってからコラージュし、着彩するという複雑な制作手法。銅版画に拘るのは、刷り上がった時の予期しない色合いや線など「筆だけでは表現できない版画独特の表現」に魅せられているため、といいます。
愛らしい女性像に、武者などの古典的なモチーフや動物・花などが儚げに同居。鮮やかな色彩は、強く心に残ります。
入江明日香会期中、土日を中心に出展作家によるギャラリーツアーも開催されます。日程は展覧会公式サイトでご確認ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年12月12日 ]■DOMANI・明日展 に関するツイート