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    レポート
    ウフィツィ美術館展 黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで
    東京都美術館 | 東京都
    ボッティチェリならでは、官能的な学問の女神
    メディチ家のコレクションを核にして設立された、ウフィツィ美術館。ボッティチェリをはじめとした75点で、豊かなフィレンツェ・ルネサンスを総覧します。
    サンドロ・ボッティチェリ《パラスとケンタウロス》
    第1章「大工房時代のフィレンツェ」
    (左)サンドロ・ボッティチェリの周辺《聖母子、洗礼者聖ヨハネ、大天使ミカエルとガブリエル》
    サンドロ・ボッティチェリ《ロッジャの聖母》
    (左から)サンドロ・ボッティチェリ《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》 / サンドロ・ボッティチェリの工房《十字架の道行》 / サンドロ・ボッティチェリの工房《鞭打ち》
    (左から)アンドレア・デル・サント《ピエタのキリスト》 / アンドレア・デル・サントの原画に基づく《幼き洗礼者聖ヨハネ》
    (左から)ジョヴァンニ・デル・ブリナ《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》 / フランチェスコ・デル・ブリナ《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》 / ミケーレ・ディ・リドルフォ・デル・ギルランダイオ《聖家族と洗礼者聖ヨハネ》
    (左から)フィレンツェのメディチ家タピストリー製作所 下絵素描およびカルトン:フランチェスコ・サルヴィアーティ《十字架降架》 / フィレンツェのメディチ家タピストリー製作所 下絵素描およびカルトン:フランチェスコ・サルヴィアーティ《キリストの復活》
    第4章「フィレンツェ美術とメディチ家」 右手前はブロンヅィーノと工房《ロレンツォ・イル・マニフィコの肖像》
    ルネサンス関連の美術展ではお馴染みといえるウフィツィ美術館。今までに何度も作品が貸与されていますが、「ウフィツィ美術館展」と銘打った展覧会は、実は今回が初めて。出展作品の半数以上が、ウフィツィ美術館からの出展です。

    展覧会は4章構成。ロビー階(地下1階)のエントランスから進むと、第1章「大工房時代のフィレンツェ」から始まります。

    大規模な芸術家工房が作品を生み出していた15世紀のフィレンツェ。入口近くの《聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ》を描いたドメニコ・ギルランダイオも、ヴェロッキオ工房の共同制作者です。中央には、石打ちの刑で殉教した聖ステファヌス。良く見ると、頭から血を流しているのが分かります。


    第1章「大工房時代のフィレンツェ」 ドメニコ・ギルランダイオ《聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ》

    上階に登ると、第2章は「激動のフィレンツェ、美術の黄金期の到来」。お目当てのボッティチェリ《パラスとケンタウロス》はこの章です。

    学問の女神パラスが、半人半獣のケンタウロスを支配している構図。肉欲に勝利する理性=花嫁の貞潔、という事から、この作品が収蔵されていたロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ・デ・メディチとセミラーミデ・アッピアーニの1482年の結婚との関わりから注文されたと考えられています。

    薄い衣をまとった女神は、ボッティチェリならではの官能的な表現。ウフィツィ美術館では、同じボッティチェリの《春(プリマヴェーラ)》《ヴィーナスの誕生》と並んで展示されています。


    第2章「激動のフィレンツェ、美術の黄金期の到来」 サンドロ・ボッティチェリ《パラスとケンタウロス》

    奥に進むと、第3章「マニエラ・モデルナ(新時代様式)の誕生」。「芸術家列伝」を著したジョルジョ・ヴァザーリは、レオナルド・ダ・ヴィンチに始まる16世紀芸術を「マニエラ・モデルナ」と評しました。

    フィレンツェのマニエラ・モデルナは、サンティッシマ・アヌンツィアータ聖堂の壁画が原点。壁画制作に加わったアンドレア・デル・サントやロッソ・フィオレンティーノらの作品が並びます。


    第3章「マニエラ・モデルナ(新時代様式)の誕生」

    最上階の2階は、第4章「フィレンツェ美術とメディチ家」。この時代のフィレンツェ美術にとって、メディチ家の存在はパトロン以上の存在でした。

    会場中央には、歴代のメディチ家当主の肖像画も。若くしてメディチ家の指導者になったロレンツォ・イル・マニフィコ、後のウフィツィ美術館となる建物を建設したコジモ1世らを描いたのは、ブロンヅィーノと工房です。


    第4章「フィレンツェ美術とメディチ家」

    メディチ家最後の当主は、アンナ・マリア・ルイーザ。子のないまま1743年に死去した彼女の遺言により、メディチ家の遺産はフィレンツェに残されました。

    来春はBunkamura ザ・ミュージアム「ボッティチェリとルネサンス」展も開催(2015年3月21日~6月28日)。年をまたいで、フィレンツェ・ルネサンスに注目が集まりそうです。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年10月14日 ]


    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2014年10月11日(土)~2014年12月14日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    休館日
    月曜日休室 ただし祝・休日の場合は開館し、翌日休館
    住所
    東京都台東区上野公園8-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.uffizi2014.com/
    料金
    一般 1,600(1,300)円/学生 1,300(1,100)円/高校生 800(700)円/65 歳以上 1,000(900)円
    ※( )内は前売・団体料金。
    ※団体割引の対象は20名以上。
    ※中学生以下は無料。
    ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神
    障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
    ※毎月第3水曜日はシルバーデーにより、65歳以上の方は無料。毎月第3土・翌日曜日は家族ふれあいの日により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)は一般当日料金の半額。いずれも証明できるものをご持参ください。
    展覧会詳細 「ウフィツィ美術館展―黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで―」 詳細情報
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