出品されているのは、茶碗、蒔絵箱、水指、印籠など大小の工芸品、絵巻、掛軸、屏風、浮世絵などの絵画など約120点。変わったものでは実際の橋に使われていた擬宝珠(ぎぼし)も展示されていました。
重厚な展示室1・2で展示されているのは「工芸に見る 橋の意匠」最初の展示は「工芸に見る 橋の意匠」。橋が描かれたり、橋に関連した名や銘が付けられた工芸品を紹介しています。意匠や銘の多くは、和歌・物語・謡曲などの古典文学に題材をとっています。
展示会場。浮世絵、屏風絵から擬宝珠まで。ちょっと面白いのは、第6章で展示されている、日本大橋尽番付。江戸時代後期に書かれた、日本の橋の長さ番付です。相撲の番付に習って「東之方」と「西之方」に分かれており、東で一番長い大関の橋は岡崎矢矧橋(愛知県岡崎市)、西の大関は岩国錦帯橋(山口県岩国市)です。行司は千住大橋・江戸両国橋・江戸大川橋、勧進元は大阪日本橋・江戸日本橋と、細部まで遊び心に溢れています。東西両大関の橋の浮世絵とともに展示され、注目を集めていました。ちなみに、横綱の地位が番付に載るようになったのは明治からで、当事は大関が最高位でした。
藤沢の橋を別方向から描いた浮世絵二枚会場の
三井記念美術館についてもご紹介します。同館は三井文庫別館が三井家及び三井グループに縁の深い日本橋に移転して、平成17年10月に三井本館7階に開館した美術館です。 所蔵する美術工芸品は、現在約4000 点、切手類が約13万点。うち国宝が6点、重要文化財は71点もあります。
周辺には
ブリヂストン美術館、
出光美術館、
三菱一号館美術館と優れた企業美術館が多く、ミュージアムファンにはうれしい限り。日本美術にみる「橋」ものがたりは、9月4日(日)までの開催です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年7月8日 ]