生きるためには食事が必要。そして、生きるためには排泄も必要。トイレは私たちの日常の暮らしに密接に関わっています。
本展は、うんちの匂いや形などの身近な話から、環境問題などのスケールが大きい事象まで、楽しみながら学んでいく企画展。会場では「ブリットくん」「トイレの助」など、うんちやトイレのキャラクターがナビゲートしていきます。
会場の最初は「トイレの助」が怒ってます会場は8つのエリア。プロローグとエピローグは、放送作家の鈴木おさむさんがプロデュースしました。
トイレ空間を活用したさまざまなアイディアの紹介、未来の宇宙トイレの展示、そして今日出たうんちの形をねんどで作るワークショップなど、親しみやすい構成です。
うんちの状態を示す国際的基準は「ブリストルスケール」(1~7まで。数字が多いほど柔らかく、ベストは「4」)。ハイヒールは道に捨てられたうんちが付かないように作られたなど、トイレやうんちについての雑学もたっぷり楽しめます。
うんちを作るワークショップも会場の真ん中にあるのは、巨大なトイレの滑り台。"うんちの帽子"をかぶって滑り降りると、その先は下水道から海まで繋がっていて、水がきれいになる仕組みについて解説されます。
実は、下水は資源の宝庫。農業肥料であるリンの原料(リン鉱石)を日本は100%輸入していますが、下水には輸入したリンの約50%が含まれています。下水からのリン回収は、今後の大きな課題でもあります。
うんちになったつもりで、滑り降りてください後半には深刻な展示も。世界では現在でも25億人がトイレを使えない環境にあります。
スラムでは家でしたうんちやおしっこを袋に入れて、家から離れた場所に投げ捨てる「フライング・トイレ」を避けながら子どもが遊んでいるなど、理想のトイレとはかけ離れた場所も数多くあります。
日本でも震災時にはトイレは大きな問題になりました。「うんちが流れる仕組み」が壊れると、近代的なトイレもたちまち使い物にならなくなるのです。
年齢、貧困、災害…深刻なトイレ事情トイレに関する課題を共有したところで、エンディングではトイレが高らかに歌い上げます。
作詞:鈴木おさむ、作曲・編曲:佐々倉有吾による「ありがトイレ」。歌詞は"だじゃれ"満載ですが、なぜかほろっとくるエンディングです。
感動的な「ありがトイレ」関連商品も多彩で、キャラクターが印刷されたトイレットペーパー(500円)や巾着袋(1,000円)や、オリジナルクッキー(800円)、うんちキャンディ(780円)などの食べ物も。子どもが楽しめるのはもちろん、大人も考えさせられる企画展です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年7月1日 ]