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レポート
イメージの力 ─ 国立民族学博物館コレクションにさぐる
国立新美術館 | 東京都
美術館と博物館、枠を超えて
世界最大級の民族学コレクションを誇る大阪の国立民族学博物館と日本最大級の展示スペースを持つ国立新美術館のコラボレーション企画。博物館の「資料」を美術館で「作品」として展示する今までにない試みです。
神像つきの椅子「カワ・トゥギトゥ」 /民族:イアトムル族(パプアニューギニア)
プロローグ━視線のありか
先祖像「ングワルンドゥ」/民族:アベラム族(パプアニューギニア)、割れ目太鼓/地域:セピック川流域(パプアニューギニア)
第1章 見えないもののイメージ 1-1 人をかたどる、神がみをかたどる
女性用盛装/民族:ミャオ族(中国)
右から、飾りヒョウタン(箱型祭壇、フクロウ)ともに アレハンドロ・ウルタド/地域:コチャス・チコ(ぺルー)、イースターエッグ/地域:モルドバ地方(ルーマニア)
上、アサフォ結社の軍旗/民族:ファンティ族(ガーナ) 下、棺桶/地域:テシ(ガーナ)
肘掛け椅子 クリストヴァオ・カニャヴァート(ケスター)/地域:マプト(モザンビーク)
左から「貝の中にヒトを見つけるワタリガラス」フリーダ・ディージング/民族:ハイダ 、「ムラサキイガイ」ボー・ディック/民族:クワクワカワクゥ、「サメ」ビル・リード/民族:ハイダ、「紡錘車:サケをもたらすスワニシト」スーザン・ポイント/民族:コーストセイリッシュ すべてカナダ
人々が思い描くイメージは、古今東西で様々な姿となって生み出されます。人とイメージの関係に注目した本展では、時間や地域を横断した、下記4つのセクションで構成されます。

 第1章 見えないもののイメージ
 第2章 イメージの力学
 第3章 イメージとたわむれる
 第4章 イメージの翻訳

会場に入ると、世界中の仮面に迎えられます。約100点の個性あふれる仮面たちに一斉に見つめられ、少しドキッとしてしまいます。


プロローグ、第1章会場風景

目を引く釘だらけの人形は、コンゴのヨンベ族の呪術人形「ミンキシ」。呪術とは言っても医療呪術で、呪医がおなかの穴に薬草を入れ釘を打つことで、薬の効果が発揮されることを願います。呪術で釘だらけの姿は一見恐ろしく感じますが、患者の痛みを癒す沢山の祈りが込められた姿です。


呪術人形「ミンキシ」。小さいサイズですが、錆びついた釘が大量に打ちつけられています。

会場で一際大きな柱は、インドネシアのアスマット族の「ビス」。柱の最上部にいるのが死者で、祖先のいる異界へ送るための葬礼で使用されてきました。天の異界へ死者の魂を送る行為、は古今東西変わりないようです。


ビスは大きなものでは6メートル近くあります。

生み出されたイメージは、海を越え、予想外の形で展開することがあります。ベトナムでお土産として売られているおもちゃのボディには、見慣れたロゴが。元々は、ベトナム戦争終結後、廃品を活用して国連軍向けのお土産品として、作られたものが始まりです。現在でも観光客向けに、手の込んだ工芸品として作られています。


鮮やかなロゴが印象的。見慣れた空き缶の再生に感心します

展覧会のエピローグでは、日常生活で用いられてきた大きな網や熊手、銛などを現代美術のインスタレーションの手法で展示。この企画展の最大の見せ場で、おそらく説明されなければ、インドやコンゴで使われてきた日用品だとは気付けないはずです。

今回展示される作品は、いわゆる「プリミティブアート」「エスニックアート」などの枠組みで紹介されがちですが、既成概念は忘れて、古今東西の人々が生み出し続けるイメージの力を感じてみてください。
[ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2014年2月18日 ]

直感こども美術館 プリミティブアートってなぁに? [大型本]

マリー・セリエ (著), 結城 昌子 (監訳)

西村書店
¥ 2,940

料金一般当日:1,000円
 → チケットのお求めはお出かけ前にicon

 
会場
会期
2014年2月19日(水)~6月9日(月)
会期終了
開館時間
<企画展>
10:00~18:00
※当面の間、夜間開館は行いません。
※入場は閉館の30分前まで
<公募展>
10:00~18:00
※美術団体によって、異なる場合があります。
※入場は閉館の30分前まで
休館日
火曜日休館 ただし、4月29日(火)および5月6日(火)は開館、5月7日(水)は休館
住所
東京都港区六本木7-22-2
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト https://www.facebook.com/the.power.of.images
料金
一般 1,000(800)円/大学生 500(300)円
※()内は20名以上の団体料金および前売料金
※2014年4月19日(土)は「六本木アートナイト2014」、5月18日(日)は「国際博物館の日」につき、入場無料
※高校生、18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)および障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料
展覧会詳細 「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」 詳細情報
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