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    レポート
    2011.3.11平成の大津波被害と博物館
    【2025年度中まで全館休館予定】東京都江戸東京博物館 | 東京都
    今なお続く、被災文化財への取り込み
    戦後最大の自然災害となった東日本大震災から3年。地域の文化財や博物館も多くの被害を受けました。今もなお続く、被災した文化財の救出活動や保存処理を紹介する展覧会が、江戸東京博物館で開催中です。
    会場入口には、陸前高田市市民体育館にあった掛け時計が
    過去の津波を報じる資料。三陸地域は過去に何度も津波被害を受けています
    陸前高田市立図書館で被災した、岩手県指定文化財「吉田家文書」
    陸前高田市立博物館で被災した標本箱。未修復のものと修復されたものが並びます
    安定化処理された植物標本
    会場
    手前の巨石は、嘉永3年に陸前高田市に落下した気仙隕石(複製)。震災時には茨城県自然博物館の企画展に貸し出されていたため、奇跡的に助かった
    玩具や生活用具などの民俗資料
    扇面が貼られていた屏風は、本紙が切り離されました
    展覧会は、岩手県陸前高田市を中心とした岩手県内の被災文化財の中で、修復された資料と、それまでの取り組みを紹介する企画。天皇・皇后両陛下も2月10日に鑑賞されました。

    会場入口にある時計は、陸前高田市の市民体育館に掛かっていたもの。地震発生は14時46分。津波の影響により、15時31分で針は止まっています。この体育館はほぼ天井まで水没し、約100人が避難しましたが、助かったのは数人でした。


    会場入口には、陸前高田市民体育館に掛かっていた時計が

    陸前高田市は、岩手県内で最も多くの文化施設と収蔵資料が被災しました。震災後、要請を受けた岩手県教育委員会などは、市立図書館が所蔵していた県指定文化財「吉田家文書」を皮切りに救出活動を開始。自衛隊の協力も得て、海と貝のミュージアム、市立博物館、埋蔵文化財収納庫の順に活動を進め、計31万点の資料を救出しました。

    救出された資料は、長期保管を可能にする「安定化処理」が必要です。自然史標本については、国立科学博物館をはじめ全国43機関に輸送されて、処理が行われています。


    自然史標本は各所で安定化処理が行われました

    被災した資料の種類はさまざまです。

    吉田家文書をはじめとした古文書、書画や軸物(掛け軸)などの美術品、昆虫や植物などの生物標本、漁撈(ぎょろう)用具や大工道具、玩具や生活用具などの民俗資料、等々。

    海水に浸った資料の措置方法は、国際的にも確立されていません。安定化処理は、資料の状態にあわせながら進められています。


    被災した資料は種類もさまざまです

    被災資料と取り組みはもちろんですが、冒頭に展示されている図版もぜひ心に留めておいてください。

    紹介されている資料は、明治29年の三陸沖地震(三陸大海嘯)と、昭和8年の三陸沖地震(昭和三陸大津波)を報じたもの。それぞれ、死者・行方不明者は21,959人と3,064人という大惨事でした。

    当時の報道陣も、後の時代を啓蒙する使命感にあふれていたはずです。私たちは、先人たちの想いを活かせたといえるでしょうか。


    それぞれ、約100年前と約80年前の惨事でした

    東日本大震災で被災したミュージアムについては、インターネットミュージアムの特集コーナー「MUSEUM ACTION」でもご紹介しています。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年2月12日 ]

    報道写真全記録2011.3.11-4.11 東日本大震災

    朝日新聞社 (著), 朝日新聞出版 (著)

    朝日新聞出版
    ¥ 1,575

     
    会場
    会期
    2014年2月8日(土)~3月23日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    ※入館は閉館の30分前まで。
    休館日
    月曜日休館
    住所
    東京都墨田区横網1-4-1
    電話 03-3626-9974(代表)
    公式サイト http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
    料金
    常設展観覧料でご覧になれます
    一般 600(480)円/大学生・専門学校生円/480(380)円/中学生(都外)・高校生・65歳以上 300(240)円/中学生(都内在学または在住)・小学生・未就学児童 無料
    ※常設展観覧料でご覧になれます。  
    ※( )内は20人以上の団体料金。消費税込。  
    ※毎月第3水曜日(シルバーデー)は、65歳以上の方は常設展観覧料が無料です。  
    (年齢を証明できるものを持参ください)  
    ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳を   お持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)は、常設展観覧料が無料です。
    展覧会詳細 「特集展示「2011.3.11平成の大津波被害と博物館 ―被災資料の再生をめざして―」」 詳細情報
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