1995(平成7)年度から開催されている「発掘された日本列島」展。今回は旧石器時代から近世まで、約510点の出土品を集めました。
全国の最新考古資料が一カ所で堪能できる、極めてお得な企画。江戸博の後には
福島県文化センター(8月3日~9月13日)、
松本市立博物館(9月21日~11月4日)、高槻市立今城塚古代歴史館(11月12日~12月23日)、
九州国立博物館(2014年1月1日~2月16日)に巡回します。
最新の発掘資料が並ぶ今年の目玉は、宮内庁との共催による特集展示「陵墓の埴輪」。天皇や皇族の墓と考えられている陵墓は宮内庁が管理しており考古学的な調査には制約がありますが、今回は近畿と宮崎の古墳群から出土した埴輪が出展されています。
卑弥呼の墓とする研究者もいる箸墓(はしはか)古墳からは、壺形の埴輪。仁徳天皇陵からは女性と考えられている埴輪の頭部などを公開。陵墓から出土した埴輪が一堂に会するのは初めての機会であり、これは大きな注目を集めそうです。
特集展示「陵墓の埴輪」鳥居松遺跡(静岡県浜松市)から出土したのは、長さ79.5センチの金銀装円頭大刀(きんぎんそうえんとうたち)。約1500年前のもので、川の跡から見つかりました。
柄の部分を金銀で飾った刀は、恐らく朝鮮半島で作られたもの。儀式の中で川の底に沈められたとみられています。柄の先端には二匹の龍の模様を確認することができます。
《金銀装円頭大刀》鳥居松遺跡(静岡県浜松市)愛らしい陶馬(とうば:馬の形をした焼き物)は、備前陶器窯跡群(岡山県備前市)からの出土。こちらは安土桃山時代、約450年前です。
土馬・陶馬は神に馬を献上したことが由来といわれていますが、この時期の備前焼の陶馬は異例。何のために作られたのかわからない、謎の馬です。
《陶馬》備前陶器窯跡群(岡山県備前市)その他、東日本大震災の復興事業に伴う発掘調査で得られた成果の一部を紹介する「東日本大震災の復興と埋蔵文化財保護」を、昨年に引き続いて開催。開催される地域ごとに行われる「地域展」は、東京(江戸博)では「発掘 江戸の華」と題し、江戸時代の出土優品を展示しています。
毎年の事ながら、考古ファンは必見の展覧会。今年は1階展示室で開催中(7月15日まで)の「
ファインバーグ・コレクション展 ―江戸絵画の奇跡―」もあわせてお楽しみください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年6月7日 ]