メディアの多様化が進む中でも、新聞に接触している人の割合は91.3%(2009年 日本新聞協会調べ)。新聞は、依然として私たちの生活に密着しています。今回の東日本大震災でも、連日新聞紙上で報じられた報道写真は、私たちに大きな衝撃を与えました。
震災を受けて日本新聞博物館では、特別展示「東日本大震災報道写真展」が開催されています。展示されているのは、東北写真記者協会および東京写真記者協会加盟各社と、被災地域の新聞協会加盟社の記者が撮影した報道写真90点。会場は5階「現代ゾーン」前に設けられた特設コーナーですが、そこに繰り広げられるのは、胸が締め付けられるような現実です。
危険と隣り合わせで撮影された、次々に町を飲み込んで行く津波の連続写真。大爆発してオレンジ色の火柱を上げる製油所。津波に巻き込まれた車中から必死に逃げ出す男性。行方不明の息子の遺体を見つけてくれた救助隊員に深々と頭を下げる遺族。土葬される被害者に敬礼する自衛隊員など、言葉を失う一コマをカメラが切り取っていきます。
今回の震災では先進国・途上国を問わず世界中から大きな支援の声があがっていますが、報道写真が持つ力が、言語を超えて人々の背中を押したのかもしれません。筆者が取材に訪れたのは平日ですが、多くの来館者の方々が食い入るように写真を見つめていたのが印象的でした。
最後に、日本新聞博物館についてご紹介します。
日本新聞博物館は、日刊新聞発祥の地でもある横浜に2000年に開館。博物館がある横浜情報文化センターは、関東大震災の復興記念として建てられた商工奨励館を保存した歴史的建造物です。常設展示では新聞の歴史や新聞がつくられるまでを紹介。パソコンで新聞の製作体験ができる「新聞製作工房」なども併設されています。
取材当日には、小学生の団体が校外学習で訪れていました。子どもから大人まで楽しめる博物館です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年4月27日 ]※写真の無断転載はご遠慮ください
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