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レポート
飛騨の円空 ― 千光寺とその周辺の足跡 ―
東京国立博物館 | 東京都
100体の円空仏
生涯に12万体の仏像を造る願を立て、諸国を巡った江戸時代の僧・円空。飛騨の森林をイメージした会場に100体の円空仏が並びます。
両面宿儺坐像(千光寺)
左から金剛神立像(飯山寺)、不動明王立像(素玄寺)、護法神立像(千光寺)
右は狛犬(千光寺)
三十三観音立像(千光寺)
金剛力士(仁王)像 吽形(千光寺)
右は迦楼羅(鳥天狗)立像(千光寺)
左から聖観音菩薩立像(清峰寺)、千手観音菩薩立像(清峰寺)、龍頭観音菩薩立像(清峰寺)
小さな如来坐像(千光寺)は、わずか6センチ弱
神像(神明神社)の背面には、梵字と神名の墨書が
独特の味わいでファンが多い円空の仏像。今回の展覧会では約300年ぶりに寺外で公開される「両面宿儺坐像(りょうめんすくなざぞう)」をはじめ、数ある円空仏のなかでも屈指の名作が集結。円空の多彩な造形力を実感できる機会になりました。


飛騨の森林をイメージした会場

会場中央でひときわ目立つ大きな仏像は、金剛力士(仁王)像(千光寺)。千光寺境内の立ち木をそのまま彫り、二体の仁王像にしたものです。

展示されたのは傷みが少ない吽形のみですが、2メートル超(226.0センチ)の仏像は大迫力。裏側にまわると木の形がそのまま残されています。

立ち木を彫って仏像にする手法は平安時代からあり、円空も日光中善寺の千手観音立像を見た可能性があります。


金剛力士(仁王)像 吽形(千光寺)

一群になって紹介されているのは、三十三観音立像(千光寺)。シンプルな造作で、いかにも円空らしい作品です。

三十三観音ですが、残っているのは31体。病気の人が借り出して回復を祈ったといい、戻ってこなかったものがあったそうです。


三十三観音立像(千光寺)

そして、本展の目玉である両面宿儺坐像(千光寺)。円空の優れた技術を確認できる逸品です。

両面宿儺は日本書紀に登場する飛騨の怪物。爪などの細部も表現しており、光背があるのも円空仏には珍しい試み。当時の千光寺住職の舜乗の依頼で、礼拝の対象として造られたものかもしれません。


両面宿儺坐像(千光寺)

円空仏は丸太を縦に割って造られたものが多く、中には一つの丸太を割り、それぞれに像を彫ったものもあります。金剛神立像(飯山寺)もそのひとつ。こちらも2メートル超の大きな作品です。


金剛神立像(飯山寺)

雨が降らなければ飢饉になる、疫病が流行ると人が死ぬ。円空が生きた時代は、現在よりもずっと困難な時代でした。

庶民を想う真っすぐな心から生まれた祈りのかたち。現在を生きる私たちの心にも響きます。(取材:2013年1月11日)

美術手帖 2013年 02月号

美術手帖編集部(編集)

美術出版社
¥ 1,600

料金一般当日:900円
 → チケットのお求めはお出かけ前にicon
会場
会期
2013年1月12日(土)~4月7日(日)
会期終了
開館時間
9:30~18:00
※総合文化展は17:00まで
※時期により変動あり
いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日
月曜日 (ただし1月14日(月・祝)、2月11日(月・祝)は開館、1月15日(火)、2月12日(火)は休館)
住所
東京都台東区上野公園13-9
電話 03-3822-1111(代表)
公式サイト http://enku2013.jp/
料金
一般900円(800円)、大学生700円(600円)、
高校生400円(300円)、中学生以下無料
※( )内は前売り・20名以上の団体料金
※障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
※前売券は、東京国立博物館 正門チケット売場(窓口、開館日のみ、閉館の30分前まで)、のほか、チケットぴあ(Pコード:765-365)、ローソンチケット(Lコード:31632)、イープラスなど主要プレイガイド、2012年10月1日(月)~2013年1月11日(金)まで販売。
展覧会詳細 「東京国立博物館140周年 特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」 」 詳細情報
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