今年の「発掘された日本列島」で取り上げられているのは、全国の20遺跡。旧石器時代の中東遺跡(埼玉県三芳町)から近代の西南戦争遺跡(熊本県玉東町・熊本市)まで、年代順に約580点の出土品が展示されています。
会場縄文時代の島遺跡(岐阜県飛騨市)からは、石棒や石棒の未製品を発見。ここが石棒の生産センターだったことがわかりました。
石棒は縄文時代中期から弥生時代初めにかけて使われた祭祀の道具。展覧会では生産過程が分かるように順番に展示されています。
縄文時代:島遺跡(岐阜県飛騨市)注目のひとつが、この人面付壺形土器。泉坂下遺跡(茨城県常陸大宮市)から出土した弥生時代中期の壺で、高さ77.7センチ。全体が残存する人面付壺形土器としては最大となります。
人骨を埋葬する際の棺として用いられたと考えられているこの土器。埋葬された人の顔を模しているのでしょうか。ユーモラスな表情が特徴的です。
泉坂下遺跡(茨城県常陸大宮市)の人面付壺形土器本展は
江戸東京博物館を皮切りに、
八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館、
藤枝市郷土博物館・文学館、
堺市博物館、
鳥取県立博物館と約一年かけて巡回します。
北は秋田から南は熊本まで、日本各地で見つかった最新の調査結果が一箇所で見られます。考古・歴史ファンはお見逃しのないように。
古墳時代:仁田埴輪窯跡(佐賀県唐津市)また今回は特集として、会場後半で「東日本大震災における文化財保護のとりくみ」も展示されています。文化財レスキュー事業を中心とした被災文化財救出作業の紹介や、被災地の復興事業に伴う発掘調査の人的・財政的支援など、さまざまな文化庁のとりくみも紹介されていました。(取材:2012年6月8日)