
返還されたモネ《睡蓮―柳の反映》について説明する、陣岡めぐみ氏(国立西洋美術館主任研究員)
2018年2月26日(月)、国立西洋美術館は、ルーヴル美術館で発見されたクロード・モネの《睡蓮―柳の反映》について記者発表を行った。
《睡蓮―柳の反映》は、2016年9月にルーヴル美術館の収蔵庫でロールに巻かれた状態で発見。調査により、松方コレクションの一部であった事も確認された。
松方コレクションは、川崎造船所(現・川崎重⼯業株式会社)の初代社長を務めた松方幸次郎が1910~1920年代にヨーロッパ各地で収集した美術品。近代西洋名画も数多く含まれているが、戦後、フランスに保管されていた約400点は、敵国財産としてフランス政府が接収された。1959年には20点を除いて絵画・彫刻など375点が返還され、その美術品を核にして国立西洋美術館は設立されたが、返還された美術品の中に《睡蓮―柳の反映》は含まれていなかった。
《睡蓮―柳の反映》がフランスに取り置かれた理由は分かっていないが、フランス政府は日本への返還について異議はないと判断。原所有者である松方家より、国立西洋美術館に寄贈された。
今回の《睡蓮―柳の反映》は、パリ・オランジュリー美術館に設置されている、8点組の大装飾画「睡蓮」の中の《木々の反転》に関連づけられている習作のうちのひとつ。松方コレクションには大装飾画のための習作が2点あり、1点は国立西洋美術館で常設展示されている《睡蓮》(200x200cm)、もう1点がこの作品となる。
支持体の半分程度が欠損しているなど損傷が目立つが、画家のサインと「1916年」の年記は現存。欠損部分を含めると199.3×424.2cmという巨大な作品となる。
来年度から修復作業を開始し、2019年6月から開催される「松方コレクション展」(仮称)において公開される。

クロード・モネ《睡蓮―柳の反映》油彩・カンヴァス 1916年 国立西洋美術館

クロード・モネ《睡蓮―柳の反映》油彩・カンヴァス 1916年 国立西洋美術館
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