アール・ヌーヴォーを代表する芸術家のひとり、アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)が晩年に描いた20点の油彩画《スラヴ叙事詩》が、チェコ国外で初めてまとめて公開される事となり、2016年9月7日(水)、都内で記者発表が行われた。
ミュシャは華やかなポスターなどを手がける一方で、故郷のチェコや自身のルーツであるスラヴ民族のアイデンティティをテーマにした作品も数多く制作しており、《スラヴ叙事詩》は後者の代表作。1911年から17年間をかけて、およそ縦6メートル、横8メートルに及ぶ巨大なカンヴァスに描かれた。
当時のチェコはオーストリア=ハンガリー帝国の一部であったが、それに抵抗する汎スラヴ主義運動も高まっており、古代から近代に至るスラヴ民族の苦難と栄光の歴史を描いた《スラヴ叙事詩》は、チェコの人々が自信を高め、チェコとスラヴの歴史に注目を集めるために制作された。
展覧会では、華やかな女性像を描いた装飾的なポスターやリトグラフ作品など、ミュシャの主要作品約100点もあわせて展示。音声ガイドは女優の壇れいさんが務める。
この日の記者発表では、《スラヴ叙事詩》の原寸大バナーも登場。紹介されたのは全20作の中では小さ目という「東ローマ皇帝として戴冠するセルビア皇帝ステファン・ドウシャン」だが、それでも405x480cm。天井近くまでバナーが広げられると驚きの声もあがっていた。
「ミュシャ展」は国立新美術館 企画展示室2Eで2017年3月8日(水)~6月5日(月)に開催。観覧料は当日券が一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 900円。前売りはそれぞれ200円引きで11月2日(水)から発売。2枚1組で2,300円の「ミュシャ展」ペア券は10月1日(土)~11月30日(水)に発売される。
国内での展示は国立新美術館のみで、巡回展は行われない。
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